羊や鹿の大移動、本能ではなく「文化」だった

母親や仲間から学習し最適化重ねる、大移動ごと保護を、サイエンス誌

2018.09.11
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モンタナ州のイエローストーン国立公園に棲むオスのビッグホーン。ビッグホーンが長距離を移動するためには母親から最適な戦略を学ぶ必要がある。(PHOTOGRAPH BY ROBBIE GEORGE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 野生動物の大移動は自然界のスペクタクルの1つだ。ケニアのマサイマラ国立保護区では、毎年、ヌーとシマウマが雨を追いかけて大移動する。オオカバマダラというチョウは、メキシコとカナダの間を行ったり来たりしている。小さな鳴き鳥が何日もの間ノンストップで飛行することもある。科学者たちは今、野生動物が、いつ、どこに行くべきかをどのようにして知るのか、そのしくみを解き明かそうとしている。(参考記事:「ヌーの大量溺死が川を育んでいた、研究発表」

 移動する動物のなかには、移動経路が遺伝子に書き込まれているものもいる。鳴き鳥の場合、実験室で孵化し、自然界を全然知らなくても、正しい時期に、おおむね正しい方向に移動しようとする。(参考記事:「遺伝子が解くオオカバマダラの大移動」

 しかし、ビッグホーン(オオツノヒツジ)やヘラジカ(ムース)のような大型の哺乳類は違う。野生動物の研究者は以前から、彼らが上手に移動するためには経験が必要であり、毎年の大移動は遺伝的に受け継いだものではなく、お互いに学習した結果なのではないかと考えていた。9月7日付けの学術誌『サイエンス』に発表された研究は、ある種の動物は移動方法を学習する必要があることを示して、研究者たちの予想の正しさを裏づけた。(参考記事:「動物大図鑑 ビッグホーン」

 研究者らは、年長者から若者に受け渡される情報と知識のセットは「文化」の一種であると説明する。そして、動物が社会的な交流によって学習し、その情報をやりとりする行為は、一種の「文化交流」であり、本能的なものとは対極にあると言う。

 北米の山々や平原では、厳しい冬の間、有蹄類(カリブー、エルク、ヘラジカ、ビッグホーンなど、ひづめをもつ動物)の大群が高地の繁殖地から低地に下りてきて、植物の成長を追いかけて移動してゆく。生態学者はこの現象を「緑の波のサーフィン」と呼ぶ。今回の研究により、ビッグホーンとヘラジカはサーフィンの仕方を学ばなくてはならないことが明らかになった。

【参考ギャラリー】米国を大移動する動物たち 写真11点(写真クリックでギャラリーページへ)
グランドティートン国立公園をめざしてグリーン川を渡るプロングホーンの群れ。(PHOTOGRAPH BY JOE RIIS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

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