探査機ボイジャー40年、隣の恒星に出会う日

太陽系から最も近い恒星に近づくのは、なんと4万年後

2017.09.09
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【動画】ボイジャーの旅
太陽系の巨大惑星の探査を終えたボイジャー1号と2号は、太陽系を離脱して恒星をめざす。(解説は英語です)

ボイジャー1号

 ボイジャー1号が、2号を追って宇宙に飛び出したのは1977年9月5日のことだった。1979年に木星に接近して衛星イオの火山の噴火をとらえ、1980年に土星に接近した後は、太陽系の外に向かって進んでいる。(参考記事:「宇宙画像のパズル、木星の衛星イオ」

 1990年2月14日、NASAはボイジャー1号を回転させて、遠ざかる太陽系の写真を撮影した。地球は水色の点にしか見えず、天文学者カール・セーガンは、これを「日光の中に浮かぶ塵」にたとえた。(参考記事:「カール・セーガンを振り返る」

 時速5万6000kmを超える速度で、へびつかい座の方向に飛行するボイジャー1号は、宇宙空間にある最速の人工物だ。2012年に初めて太陽圏を離脱して星間空間に入る探査機となったことが、翌年になって公式に発表された。(参考記事:「ボイジャー1号の太陽系外到達を確認」

 西暦4万472年には、ボイジャー1号はきりん座の恒星グリーゼ445から1.7光年以内のところを通過する。

 ボイジャー1号は5万6000年後にオールトの雲から出て、57万年後にはGJ 686とGJ 678という2つの恒星の近くを通過する。

驚異の旅

 2機はその後も旅を続け、局所泡(死にゆく恒星の爆発によって星間物質が吹き飛ばされた空洞)の中を進みながら、ところどころにある塵の雲を突き抜けてゆく。2機の探査機は、それぞれ570万年後と630万年後にこの局所泡を出る。(参考記事:「200万年ほど前に、地球の近くで超新星爆発」

 その先はよくわからない。銀河中心の周りの恒星や塵の雲の特異運動はまだ十分に解明されておらず、探査機は塵の雲を突き抜ける際に減速される可能性もある。さらに、主星から離れて宇宙をさまよう孤独な「浮遊惑星」の重力により、ビリヤードのボールのように小突き回されることもあるかもしれない。

 レッドフィールド氏は言う。「星間空間には浮遊惑星がたくさんあります。こうした星に少し近づくだけで、ボイジャーの旅路は大きく変わってしまう可能性があるのです」(参考記事:「浮遊惑星の数、恒星の10万倍?」

 最終的には、ボイジャーは銀河系のほかの天体と同じように銀河中心の周りを回って余生を送ることになる。

 ボイジャーのプロジェクト科学者であるエド・ストーン氏は、「太陽付近の恒星は、銀河中心の周りを2億2500万~2億5000万年の周期で回っています」と言う。「ボイジャーも同様の軌道をとり、銀河どうしの衝突により秩序が乱されるまで、数十億年間は2億2500万年周期で回転を続けるでしょう」

 40億年後、銀河系は隣のアンドロメダ銀河と衝突し、夜空の眺めは大きく変わる。(参考記事:「銀河系とアンドロメダ、40億年後に衝突」

 ボイジャーがどのような終焉を迎えるのかはわからない。無数の微小隕石に衝突されるのかもしれないし、予想外の激しい衝突一発で命を終えるかもしれない。太陽系よりも長生きして、周囲の環境が激変しても生き残る可能性もある。(参考記事:「世界最古の微小隕石を発見、原始大気の手がかりも」

「宇宙に存在するものは非常によく保存されます」とレッドフィールド氏は言う。「実際、太陽系に存在するものは、どんなに小さなものでも、これまで45億年も保存されてきたのですから」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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