海のアクセサリーで着飾るカニ 6選

海綿やイソギンチャク、ウニを載せるカニも

2018.09.05
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「ここには何もないですよ」。紅海に生息するデコレーター・クラブが、サンゴをかついでカムフラージュ。(PHOTOGRAPH BY CHRIS NEWBERT, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 カニといえば脚が長くてうらやましいと思う人もいるかもしれないが、彼らは様々な努力をして容姿に磨きをかけている。

 地球上には約7000種のカニの仲間がいるが、なかにはおしゃれなものもいれば、毒のある「カツラ」をかぶるなど、ちょっと変わった格好をするものもいる。(参考記事:「まるでクモ!?一生を木で暮らすカニの新種を発見」

 なぜカニたちは、ドレスアップをするのだろう?

マジックテープ付きの甲ら

 西アフリカから地中海にかけて生息する「スポンジ・クラブ」は、その名のとおり頭や体に海綿(スポンジ)を載せる。注目を集めるためではなく、カムフラージュをして身を隠すためだ。海綿は捕食者の目をあざむくだけではない。なかには毒を持つ海綿もいて、捕食者が寄り付かないようにもしてくれる。

 米カリフォルニア大学デービス校の海洋生物学者ジェイ・スタコビッチ氏によれば、スポンジ・クラブは一対の後ろ脚を使って自分の体の上で海綿を保持する。「甲ら(外骨格)の大部分が覆われるよう、海綿のサイズを調整します」と言う。

 一方、「デコレーター・クラブ」と呼ばれるカニたちの場合、「甲らにマジックテープのようなかぎ状の毛が生えていて、どんな装飾品でもくっつけられるようになっています」

 何を身につけるかは、種によって異なる。「選り好みの激しいものもいます」とスタコビッチ氏。「毒を持つ藻類やイソギンチャクを利用して自分の身を守る」カニもいれば、周囲の景色に溶け込めるように「身の回りに転がっているものを利用する」だけのカニもいる。(参考記事:「動物大図鑑 イソギンチャク」

護身用にウニを持ち運ぶ

 スタコビッチ氏いわく「最も派手な装飾をする」のが、米国南西部に生息する「モス・クラブ(モスはコケのこと)」だ。モス・クラブはイソギンチャクだけでなく、外見は植物のような、ふわふわとしたコケムシをびっしりと体に載せる。(参考記事:「【動画】脳のような謎の塊が池に、温暖化で北上?」

 インド洋から東アフリカの海にかけて生息する「キャリア・クラブ」は、護身用のウニを持ち運ぶためだけに後ろ脚を進化させた。ウニの中にはトゲに毒を持つものがいるが、毒を持っているかどうかわざわざ確かめたいと思う捕食者はいないだろう。(参考記事:「【動画】カニの背に乗るウニ、トゲの間には魚!」

カムフラージュのために海綿を身に付けたブリッスル・スポンジ・クラブ。スポンジ・クラブは、体に合わせて海綿のサイズ調整をする。(PHOTOGRAPH BY FRED BAVENDAM, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

 ほかのカニのように「衣装」は持たないが、豆粒のような極小サイズで他の動物の中に隠れるカニもいる。カクレガニだ。

『Walking Sideways: The Remarkable World of Crabs(横歩き:驚くべきカニの世界)』の著者で、米ラトガース大学の海洋生物学者ジュディス・ワイス氏によれば、カクレガニはムール貝やカキのような二枚貝の中にすんでいる。貝にすみつくだけで害は与えない種もいれば、貝に寄生してその食べ物を横取りする種もいるという。(参考記事:「カクレガニ、貝をくすぐって「夜ばい」」

 最後に紹介するのはキンチャクガニ。「ポンポン・クラブ」とも呼ばれるこのカニたちは、小さなハサミでポンポンのようにイソギンチャクを持ち歩く。「身を守るのに好都合ですし、イソギンチャクが捕まえて食べようとしたものを奪うこともできます」(参考記事:「カニがイソギンチャクのクローン作り共生維持か」

【ギャラリー】世界のカニ(実はヤドカリも) 写真14点(写真クリックでギャラリーページへ)
シオマネキの一種、マーシュ・フィドラー・クラブ(Uca virens)。米ガルフ・スペシメン臨海実験所水族館で撮影。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK)

文=Liz Langley/訳=桜木敬子

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