「私たちがよく知っているような世界は終わります」

 米国地質研究所と共同研究を行っている地球物理学者のケン・ハドナット氏は、細かい数字はさておき、プレート運動はいつか必ず終わると言う。その日が来たら、「私たちがよく知っているような世界は終わります」

 地球は1枚のリソスフェアに覆われるだろう。ジグソーパズルは完成し、もはやプレートが移動したり沈み込んだりすることはない。造山運動は停止するが、地球にはまだ大気があるため、風と波による浸食が山々をなだらかな高原へと変えてゆく。最終的には、平坦になった大陸の大部分が海中に没する。(参考記事:「空から見た、衝撃的すぎる地球の風景」

 沈み込み帯もなくなる。それでも地震は起こるだろうが、マグニチュード7以上の地震は過去のものとなる。火山がなくなることはないが、爆発的な噴火活動はほとんどなくなる。(参考記事:「超巨大火山のマグマ、休眠から数十年で巨大噴火も」

【動画】火山入門:火山は美しく、ダイナミックで、危険な存在だ。世界では毎年50以上の火山が噴火している。火山が形成され、噴火するしくみを学び、火山ができやすい場所を知ろう。(解説は英語です)

 プレート運動が生じなかった火星には、太陽系最大のオリンポス山(標高2万6000m)など、いくつかの巨大火山がある。プレート運動がなく、ホットスポットが常に同じ場所にあったため、長期にわたって膨大な量の溶岩が供給されたからだ。

 未来の地球のマントルが、対流を維持し、部分的に地殻を溶融させる程度の温度を保っている間は、火星のように固定したホットスポットができるだろう。ただし、火星のオリンポス山に匹敵するような高い火山はできない。地球の重力場が強すぎる上、そんなに大きくて高い山は地殻の中に沈み込んでしまうからだ。おそらく、もっと平たく、はるかに大きく広がった火山になるだろう。(参考記事:「火星地図200年の歴史、こんなに進化した15点」

 また、現在と同様に、プレートの下の部分が剥がれて高温の下部マントルに落ちてゆき、代わりにマントル物質が上昇してきて、地殻を押し上げ、山脈や盆地を形成するだろう。その際、小さな地震が起きたり、マグマポケットができたりすることもあるだろう。

 米テキサス大学ダラス校のプレートテクトニクスの専門家ロバート・スターン氏は、「金星の表面は、このようにして形成されました」と言う。金星もまた、プレート運動が十分に機能しなかった惑星だ。けれどもやがて、地球の温度がさらに下がれば、こうした機構も働かなくなり、地球最後の火山の活動も終わるだろう。マントルは冷たくなり、地球は「水星のような死んだ惑星になります」とスターン氏は言う。(参考記事:「金星で複数の火山が噴火、探査機が間近で初観測」

 おそらくその少し前に、液状の外核が冷えて対流をやめ、地球を保護する磁場がなくなる。それにより、太陽からくる高エネルギー粒子が地球の大気を剥ぎ取り、海を干上がらせるだろう。

「プレート運動が終わった後に起こることは多くありません」とハドナット氏は言う。地球は平らで退屈な場所になり、ついには膨れ上がった太陽に飲み込まれる。

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