動き続けるジグソーパズル

 まずは、プレート運動(プレートテクトニクス)について理解しておこう。地球は、太陽系が生まれたばかりで非常に高温だった頃、45億4000万年前に誕生した。かつては完全に融けた状態にあったが、形成時の熱と放射性物質が発する熱が逃げていって温度が下がり、最終的に、内核、外核、下部マントル、上部マントル、地殻という層構造に落ち着いた。(参考記事:「最新研究で見えてきた「生命の星」地球のレシピ」

 35億年前から6億年前までのどこかの時点で、地殻と上部マントルからなる「リソスフェア」が冷えて密度が高くなり、下部マントルへと沈み込みはじめた。リソスフェアはジグソーパズルのように数十枚のプレートに分割され、地球の表面でぶつかり合い、地質活動の時代が始まった。(参考記事:「ニュージーランドは第8の大陸、研究者が提唱」

 中央海嶺では、地下から上昇してきたマントル物質(マントルプルーム)が冷えて新しい海洋プレートを作る。一方、プレートの端にあって特に温度が低く、密度の高い部分は、海嶺からプレート全体を遠ざけるように引っ張り、やがてマントルの深部に沈んでゆく(マントル中に沈み込んだ部分は「スラブ」と呼ばれる)。2つのプレートが出会うと、密度が高いプレートが密度の低いプレートの下にすべり込む「沈み込み」という現象が起こり、地表で火山や新しい地殻が形成される。(参考記事:「“失われた大陸”ジーランディアの試料採取に成功」

【動画】大陸移動入門:長期的に見ると、地球の大陸はプレート運動によってあちこち移動していて、その動きは今でも続いている。(解説は英語です)

 例えば、2つの大陸プレートが衝突すると、アルプスやヒマラヤのような山脈ができる。また、大陸プレートや海洋プレートの下にマントルプルームがある場合には、地殻やホットスポットの移動に伴い火山が点々と並んでゆく。(参考記事:「ハワイに新島が出現、でも短かった命」

 けれどもマントルの温度は徐々に下がってゆくので、いつかは、プレートが沈み込まなくなるほど温度が下がるときがくる。この時期を予想する研究は、過去にもいくつか行われている。

 成氏の今回の論文は、30億年前から現在までの地球のマグマ活動の強さに基づき、数学モデルを利用して、マントルが冷える速度を推定するものだ。これにより、プレート運動が終わる時期を大雑把に知ることができると成氏は言う。

【参考ギャラリー】まるで芸術、自然の神秘がつくった世界の奇岩怪石 写真16点(写真クリックでギャラリーページへ)
米イエローストーン国立公園のオールド・フェイスフル間欠泉の「卵」は多層構造をしていて、過去の熱水だまりのそのときの状態を知る手がかりになる。(PHOTOGRAPH BY MICHAEL NICHOLS, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

次ページ:「私たちがよく知っているような世界は終わります」

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