フローレス原人は現代の島民の祖先か? 最新研究

インドネシアの小さな島民のDNAを分析、謎の原人とのつながりを調べた

2018.08.06
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2人の通訳、32の唾液サンプル

 今回の論文の著者である米プリンストン大学のセレナ・トゥッチ氏によると、ランパササ村の人々は、フローレス原人の発見以来(もしかするとそれ以前から)、自分たちの祖先は大聖堂のようなリアンブア洞窟とつながりがあると信じているという。彼らは、洞窟で発見された古代の人類は自分たちの祖先だと信じ、しばしば食物や花を洞窟に供えている。

 研究チームは、島民たちのサンプルを採集する前に、研究の目的と採集プロセスについて詳しく説明した。説明には通訳が2人必要だった。1人の通訳が英語をインドネシア語に通訳し、もう1人がインドネシア語を地元のマンガライ語に通訳するのだ。ランパササ村の人々は皆、分析に参加したがった。「彼らは自分たちの歴史を知りたがっていました」(参考記事:「漂海民バジャウ、驚異の潜水能力を「進化」で獲得」

 サンプルを採集するため、研究チームはボランティアの中から32人の成人をランダムに選び、試験管に唾液を入れてもらった。そしてこの32人中10人の全ゲノムを分析して、東アジア、マレーシア、インドネシア、パプアニューギニアなどの225の集団の2500人以上のDNAの分析結果と比較した。

【動画】小型の化石人類を発見? 2008年3月10日、熱帯の島の洞窟で科学者が発掘した小さな人骨は、大きな発見につながるかもしれない。(解説は英語です)

 いまのところ、フローレス原人の化石骨からDNAを抽出できていないため、研究チームは古代と現代のDNAを直接比較できなかった。そこで彼らは少し違った観点からその痕跡を探した。「現生人類のものとしては説明できないような遺伝子を探したのです」とグリーン氏は言う。「しかし、フローレス原人に由来すると思われる遺伝子は見つかりませんでした」

 DNAの分析の結果、ランパササ村の人々の祖先は主にパプアニューギニア、ソロモン諸島、ビスマルク諸島などから来ていたことが示された。また、比較的最近になって東アジアから来た人々に由来する遺伝子もあった。

 DNAからはさらに、微量のネアンデルタール人の遺伝子や約0.8%のデニソワ人の遺伝子など、古い人類の遺伝子も見つかった。しかし、フローレス原人など、それ以外の古いヒト族に由来すると思われる遺伝子は見つからなかった。(参考記事:「人類3種が数万年も共存、デニソワ人研究で判明」

「発見できれば本当に嬉しかったのですが、残念ながら見つかりませんでした」とグリーン氏は言う。

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