【動画】潜入!トラ闇取引の現場、解体して販売

ベトナムに違法の飼育施設、秘密捜査員が見た恐るべき実態

2018.08.01
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【閲覧注意】トラ違法取引の証拠映像(解説は英語です)
WJCの捜査員が入手したこの映像には、東南アジアの施設で感電死させられるトラと、トラの骨が煮込まれるところが映っている。この映像はトラの取引に関わっていたとされる人物によって、中国のソーシャルメディアなどを通じて拡散された。WJCによると、トラの販売業者は商品が本物であることを示すために、購入を検討している相手にこうした映像を送ることがあるという。(COURTESY WILDLIFE JUSTICE COMMISSION)

 トラの繁殖施設が初めて作られたのは1980年代半ばの中国で、その目的は野生のトラの密猟を減らすことだった。しかし保護活動家らは、こうした施設が状況を悪化させていると主張する。「繁殖施設の存在そのものが、収容数を増やしたいがために野生のトラを密猟することにつながっている可能性があります」と、野生動物取引を監視する団体「TRAFFIC」東南アジア支部の支部長代理、カニタ・クリシュナサミー氏は言う。(参考記事:「解説:タイのトラ寺院に40頭の子トラ死体」

 トラとトラの体の部位の国際的な商取引は1987年以降、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES、いわゆるワシントン条約)」で禁じられている。また2007年、CITES締約国は商取引を目的としたトラの繁殖を禁じる決定を下した。(参考記事:「ワシントン条約会議が浮き彫りにした9つの現実」

 それでも、飼育下にあるトラが野生のトラと共に違法取引されているという状況は変わらない。押収されたトラとトラの体の部位の追跡調査を行っているロンドンの環境保護団体「Environmental Investigation Agency(EIA)」によると、2010年から2018年半ばにかけて押収された生体のトラ、冷凍されたトラ、剥製にされたトラのうち、約38%が飼育下にあったトラと推定されるという。

ギャラリー:「トラ牧場」が支えるトラの違法取引、写真7点
違法に国際取引されるトラの大半は中国かベトナムに運ばれるが、写真のトラの頭部はアメリカで押収されたもの。(PHOTOGRAPH BY KATE BROOKS, REDUX)

地下と裏庭

 隠し部屋にトラを飼っていたベトナムの家は、どうやら家族で経営している様子だった。「ここはトラを何頭も飼っている(ベトナムの)数多くの家のひとつです」。飼育下にあるトラの取引について2007年から調査を行っている団体「Education for Nature - Vietnam(ENV)」のダグ・ヘンドリー氏は言う。

 ベトナムでは飼育下にあるトラの大半が、認可を得た公営・私営の動物園によって飼育されている。ただし、その多くが違法取引にトラを提供していると見られている。加えて、ベトナム北中部のゲアン省では、地下や裏庭で密かにトラを飼育する家が数多くあることがわかっている。WJCが捜査に入ったのもそうした家だ。

 秘密捜査員に取引を申し出た女性の姉は、購入を決めた人には、指定した個体であることの確認のために、トラを殺すところに立ち会ってもらうと話したという。買い手は中国にある女性の銀行口座に前もって30%の手付金を支払う必要があり、残りの70%はトラの体の部位が中国に配送された後に払うことになる(捜査員は中国人バイヤーを装っていた)。

 トラの体の部位の需要は大半が中国からのものだが、ベトナムにも昔からトラの骨を薬に使う習慣がある。(参考記事:「中国でロバ皮ブーム、アフリカで密輸が急増」

ギャラリー:「トラ牧場」が支えるトラの違法取引、写真7点
ベトナムの伝統薬に使われるトラの骨のペーストは、同国におけるトラの違法取引の主要原因となっている。トラの骨を7日間煮詰め、ブロック状に固めて作られる。(PHOTOGRAPH COURTESY EDUCATION FOR NATURE - VIETNAM)

 違法取引はまず、仲介人がトラを共同購入するグループを集めることから始まるとヘンドリー氏は言う。その仲介人がトラの販売業者を探し、代金のやりとりを取り仕切り、配送を確認する。

 仲介人はまた、トラの骨からペーストを作る技術を持つ「シェフ」も手配する。シェフは、トラの骨を(おそらくほかの動物の骨と一緒に)7日間かけて煮込む。出来上がったどろりとした茶色い物体は、乾燥させてから四角い塊にカットされる。それぞれの買い手が適当な数の塊を受け取り、自分で保管したり、売却したり、贈り物として人に譲ったりする。ヘンドリー氏によると、塊は通常、細かく削ぎ落とされて酒に混ぜて飲まれるという。

次ページ:トラの輸入

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