今回の研究では、野生では個体数が減少しているにもかかわらず、私たちの日常生活の中ではこれらの動物のイメージが氾濫していることも明らかになった。例えば、平均的なフランス人は、広告やその他の表現として1日あたり平均4頭以上のライオンを目にしている。1年間では、西アフリカ全域のライオンの生息数の数倍ものライオンを見ていることになる。(参考記事:「ライオン11頭が謎の死、報復のため毒殺か」

 この研究は、野生動物のイメージの過剰供給により人々の頭の中に動物の「バーチャル集団」ができ上がり、現実よりはるかに多くの野生動物がいるように信じさせている可能性を示唆している。

 クルシャン氏は、「私たちはあらゆるところで野生動物のイメージを見ているせいで、彼らが絶滅の危機に瀕していることに気づかず、保護するための努力を怠ってしまうのです」と言う。(参考記事:「世界の野生トラが回復、過去5年で20%増」

【動画】ブータンの野生トラをカメラがとらえた!(解説は英語です)

 米モンタナ州立大学の保全生物学・生態学教授のスコット・クリール氏は、今回の研究結果は重大な懸念を浮き彫りにすると言う。「人々は、カリスマ性を感じる動物についてさえ、その野生での暮らしをよく理解していないのです」

 クリール氏は、私たちがカリスマ性を感じる動物には、保全を困難にする特徴があると指摘する。大型の脊椎動物は長生きで、長距離を移動し、密猟の脅威にさらされている。こうしたことがいずれも保全を難しくしているという。(参考記事:「【動画】夜の密猟対策に画期的な秘密兵器が登場」

 野生生物保護協会(WCS)の生息地保全プログラムのジョー・ウォルストン副プログラム長は、私たちが最も気にかけている動物を保全できずにいるのは逆説的だと言う。

「2編の論文は、重要な点を指摘していると思います。世界で最も愛されている動物でさえ、人々が考えているより悪い状況に置かれており、この動物たちが、より多くの保全努力と注目に値するということです」

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