世界はアマゾンを救えるか、はびこる闇と負の連鎖

薬物取引、暴力、腐敗まみれのディストピア、世界の誰もが関係する問題

2018.07.25
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クリス・フェリシアーノ・アーノルド氏の新著『The Third Bank of the River』は、アマゾンの雨林には写真に映らない問題があると指摘する。(PHOTOGRAPH BY REDMOND DURRELL, ALAMY STOCK PHOTO)
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 地球の熱帯雨林の半分以上がすでに失われている。その影響が最も深刻なのがアマゾンだ。クリス・フェリシアーノ・アーノルド氏の新著『The Third Bank of The River(川の三つめの岸)』は、この問題の舞台裏へと読者をいざない、隠された腐敗、薬物取引、違法伐採などの社会的・政治的な問題を明らかにしていく。著者のアーノルド氏に話を聞いた。(参考記事:「【動画】アマゾンで新種続々、2日に1種の割合」

――アマゾンと聞くと、多くの人が魅力的な野生動物と先住民に出会える世界を想像しますが、『The Third Bank of The River』で描かれるのは、薬物取引や違法伐採、暴力、腐敗にまみれたディストピア(反ユートピア)です。状況はそれほど悪いのでしょうか。(参考記事:「子ザルとアマゾン先住民 母ザルの狩りから始まる絆の物語」

クリス・フェリシアーノ・アーノルド氏の新著『The Third Bank of The River(川の三つめの岸)』(COURTESY OF PICADOR, DESIGN BY LEEANN FALCIANI)
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 80年代に生まれたわたしは、アマゾンの熱帯雨林の危機が広く叫ばれている時代に育ちました。叫ばれる危機といえば森林伐採で、熱帯雨林を救うことはすなわち木を守ることでした。しかしこの本のために深く調査をしてみると、森林伐採よりもはるかに切実かつ危機的な問題は、熱帯雨林に関わる人間たちが生み出す状況であると痛感しました。(参考記事:「アマゾン先住民、ダム建設で消える暮らし 写真19点」

 アマゾンは森林伐採から気候変動、人権問題まで数多くの危機に瀕しており、薬物や野生動物の違法取引がそこに拍車をかけています。こうしたすべての危機が、互いに負のループに陥っているのです。透明性が確保されていない地域では、そうした問題に光を当てていくことが重要です。アマゾンの全貌を把握するには、その美しさだけでなく危機について目を向けなければなりません。(参考記事:「麻薬密売で中米の熱帯雨林に深刻な危機」

――取材の旅には非常に個人的な動機があったそうですね。

 わたしのミドルネームであるフェリシアーノは、元々はわたしのブラジルでの姓でした。わたしは軍事独裁政権が勢いを失いつつあった1981年に、ブラジルのベロオリゾンテで生まれました。その後、米オレゴン州の白人家庭の養子となり、そこで釣りをしたり、キャンプやハイキングをしたりといった、いかにも米国の田舎の少年らしい暮らしの中で育ちました。両親はわたしの出生を秘密にはせず、非常にオープンに話をして、わたしが誰なのか、どこで生まれたのかを理解できるよう支えてくれました。しかしオレゴンの田舎では、息子をブラジルのアイデンティティと文化に触れさせようとしても限界があります。わたしにとってブラジルは、リオデジャネイロ、サッカー、サンバなどが混ざりあった想像上の故郷でした。

 ブラジルに触れる機会が訪れたのは、25歳の夏にバックパッキングの旅をしたときです。それまではブラジルに関する本を読んだり、事典で調べたりしていましたが、自分の目で直接見てみたいと思っていました。わたしの実の家族に関する数少ない情報をバックパックに詰めていったのは、もしかすると生みの親を見つけられるかもしれないと思ったからです。

 真夜中にベロオリゾンテのバスステーションに到着し、ホテルにチェックインしました。わたしは生みの母親に電話をかけました。実の家族やブラジルの親戚たちとの出会いは、わたしの人生を決定づける大きな出来事でした。わたしも、母も、母のほかの子供たちも、皆で大いに涙を流しました。あれは実に感動的なひとときでした。

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