高エネルギーニュートリノ、発生源をついに特定

40億光年も離れた銀河の超巨大ブラックホールから飛来、サイエンス誌他

2018.07.17
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最高の日

 2017年9月22日、光速に近いスピードで飛んできた1個のニュートリノが地球を貫き、アイスキューブに検出された。そのエネルギーはなんと290TeV(テラ電子ボルト)で、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の高エネルギー陽子ビームの約50倍も強力だった。アイスキューブがニュートリノをとらえると天文学者に速報が配信されるようになっている。彼らは早速、ニュートリノの発生源を探しはじめた。(参考記事:「LHC再稼働、ヒッグス粒子の次は?」

 ニュートリノの進路を逆にたどると、オリオン座の近くの領域から飛来していたことがわかった。

 その領域には「ブレーザー」と呼ばれる天体があり、ときどき活発化して高エネルギー粒子を撒き散らしていた。そのガンマ線をフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡がとらえていた。(参考記事:「最初の星の光、フェルミ衛星で測定」

 ブレーザーの正体は「TXS0506+056」という巨大な楕円銀河で、中心部には荒れ狂う超大質量ブラックホールがある。ブラックホールは周囲のガスや塵を飲み込みながら高エネルギー粒子のジェットを吹き出すが、それがたまたま地球の方を向いていた。(参考記事:「重力波検出に成功、30億年前のブラックホール衝突」

「ブレーザーでは、宇宙で最も激しい天体物理学現象が起きています」と、米プリンストン大学のマリア・ペトロプールー氏は言う。TXS0506+056は地球から約40億光年のかなたにあるにもかかわらず、ガンマ線で空を観測すると最も明るいブレーザーの1つであり、超高エネルギー宇宙線発生源の有力候補と言ってよい。

 アイスキューブとフェルミ宇宙望遠鏡の同時観測から数日~数週間後には、10以上の研究チームが、電波、可視光、X線、ガンマ線など、ほとんどすべての波長の光でブレーザーのフレア(突然の増光)を調べていた。その結果、やはりTXS0506+056がガンマ線フレアを起こし、9月にアイスキューブで観測されたニュートリノを発生させたように思われた。

「私たちとフェルミ宇宙望遠鏡とが同じ時期にTXS0506+056の活動をとらえていなかったら、お互いにまた1個ニュートリノを観測できた、あるいは、またブレーザーがフレアを起こしたというだけのことだったでしょう」とハルツェン氏は言う。(参考記事:「中性子星合体の重力波を初観測、貴金属を大量放出」

 けれども研究はまだ終わりではなかった。

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