中国の黄土高原の遺跡から、アフリカ以外では最古となる石器が発見された。(PHOTOGRAPH BY ZHAOYU ZHU)
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 7月11日付けの科学誌「ネイチャー」に発表された論文によると、ヒト族(ホミニン)は、これまで考えられていたよりはるかに早い時期にアフリカを出ていたという。初期の人類史の重要な1ページを書き換える大発見だ。

 中国陝西省上陳(シャンチェン)村の遺跡で発見された100個ほどの石器が、初期のヒト族がアフリカ大陸を出たとされる時期を25万年以上も早めることになるかもしれない。

 石器を製作したヒト族は、210万年前~130万年前の80万年間、断続的にこの地域に住み、アフリカ以外では先例のない道具を残した。ジョージアのドマニシ遺跡で発見されたホモ・エレクトスの最古の化石は180万年前のものだが、上陳遺跡から出土した最古の道具は、それよりさらに約30万年も古い。(参考記事:「石器時代の大規模な「武器工場」を発掘」

「約200万年前の、アフリカ以外では最古となる石器を発見できたことは、古人類学者である私にとって無上の喜びでした」と、論文の共著者である英エクセター大学のロビン・デネル教授は言う。

「これだけ古い石器を発見できた人間は、エベレスト登頂に成功した人間より少ないですからね」

上陳遺跡の最も古い堆積物層から発見された石器。(PHOTOGRAPH BY ZHAOYU ZHU)
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 オーストラリア、ウーロンゴン大学の古人類学者ゲリット・ファン・デン・ベルフ氏は、今回の研究には参加していないが、「私は常々、中国の研究者がアフリカでの発掘調査と同規模の資金をもって自国の発掘調査を行えば、必ず何か出てくるはずだと言っていました」と興奮を隠さない。(参考記事:「世界最古の石器発見、330万年前に猿人が作る?」

「私たちがほとんど何も知らないことが、またもや明らかになりました」

人類の出アフリカ

 現生人類、ホモ・サピエンスは、約6万年前にアフリカを出た。しかし、ヒト族がアフリカの外に出たのはそのときが初めてではないし、移住を試みたのもホモ・サピエンスだけではない。ホモ・エレクトスの化石はジョージアからインドネシア、ジャワ島にかけての広い地域で見つかっている。また、ネアンデルタール人の祖先は約50万年前にいまの欧州に移住した。少なくとも70万年前には初期のヒト族が南太平洋の島々に到達し、「ホビット」と呼ばれるフローレス原人をはじめとする道具を作る人々が進化した。(参考記事:「人類の出アフリカは18万年前? 定説覆す化石発見」「解説:約70万年前の超小型原人発見、フローレス島」

 アジアでは、さらに古い時代にヒト族が住んでいたことを示す遺跡が見つかっている。1980年代には、パキスタンで発見された石器が200万年前のものかもしれないという研究結果が発表された。2004年には、中国の研究チームが、中国北部の泥河湾盆地で166万年前の石器を発見した。2015年には、上陳村から5キロも離れていない場所で見つかったホモ・エレクトスの頭蓋骨が、160万年以上前のものであることが明らかになった。

 論文の筆頭著者である中国科学院の地質学者、朱照宇氏は、中国にはもっと古い遺跡があると確信し、2004年に上陳遺跡の発掘調査を開始した。

 2007年7月、発掘チームのメンバーが、切り立った露頭の中にある1つの石に目をとめた。ヒト族が加工した石器だった。朱氏らは、2017年までにこの場所を深さ70メートル以上発掘し、そのうちの17層に石器が含まれていることを確認した。

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