命名権をオークションに
保護活動の資金を調達するため、ヘビの命名権はオークションにかけられた。鳥類学者で自然保護活動家の米国人ロバート・リッジリー氏とその亡き父ビバリー氏にちなんで名付けられた、「Dipsas bobridgelyi」と「Sibon bevridgelyi」の2種は、エクアドルの乾燥林で発見された。
これらの調査で発見したヘビの中でアルテアガ氏のお気に入りは、青い目をしたS. bevridgelyiだそうだ。「最初に見たとき、他とは全然違うと思いました」と同氏は話す。「間違いなく新種だと思いました」
研究チームが確認した他のヘビの目は、赤、黒、茶色だった。
同チームがエクアドルの熱帯雨林で発見したヘビは、後援者ケーシー・クレバ氏とオズワルド・バエズ氏にちなんで、「Dipsas klebbai」と「Dipsas oswaldobaezi」と名付けられた。また、同じ熱帯雨林で発見された「D. georgejetti」は、自然保護団体「レインフォレスト・トラスト」のメンバーで写真家のジョージ・ジェット氏にちなんで名付けられた。(参考記事:「謎多きヘビの新種3種を同時に発見、南米」)
調達資金でヘビのすむ土地を購入
アマゾンの熱帯雨林は、とても深く生物多様性に富み、ほぼ一日おきに新種が見つかっている。しかし、熱帯雨林の破壊と環境の悪化により、アマゾンに生息する動植物は、絶滅の危機に脅かされている。(参考記事:「【動画】アマゾンで新種続々、2日に1種の割合」)
そこで、研究チームはヘビを自分たちで名付けるのではなく、命名権をオークションにかけて、これらの新種について多くの人に知ってもらい、動植物が直面している脅威についても理解を深めてもらうことにした。(参考記事:「50年で200種が絶滅、愛すべきカエル写真13点」)
「一般論として、科学界と一般の人々との間には、大きな隔たりがあることがわかりました」と生物学者でトロピカル・ハーピングの写真責任者ルーカス・ブスタマンテ氏は話す。オークションに寄付した後援者は、保護プロジェクトについて知るとすぐに、支援することにしてくれた。
オークションで調達された資金は、全額が保護活動に充てられる。チームは資金の半分を使い、5種のヘビのうち2種が生息している約72万平方メートルの土地を購入した。この土地を非営利保護団体「財団法人ジョコトコ」が、エクアドルのブエナベンチュラ保護区に追加する予定である。残りの半分の資金で、エクアドルへの科学調査遠征を支援するつもりだ。
ヘビの命名権をオークションにかけて、保護活動について人々の関心を得ようとした試みは、今回が初めてではない。10年近く前、ブスタマンテ氏とアルテアガ氏は、写真、観光、教育、研究を融合して、熱帯の爬虫類や両生類を保護する組織トロピカル・ハーピングを共同で設立した。
ブスタマンテ氏は言う。「より多くの人を巻き込むような、従来とは異なる種類の科学を行おうと試みています」
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