さらにトンプソン氏によると、この構造物は、長い歳月の間に少なくとも3つの段階を経て造られたという。放射性炭素年代測定の結果、最も古い段階ができたのは西暦1000年頃で、この建物に住んでいた家系がスペイン人の到着より500年以上前から栄えていたことを示唆している。(参考記事:「4千年前の「高貴な族長一家」、リアルに復元」

【動画】先史時代のアメリカ先住民の海中墓地:2018年2月、フロリダ州ベニスの沿岸で、7000年前のアメリカ先住民の墓地がダイバーによって発見された。(解説は英語です)

ありえない王国

 米ウェストフロリダ大学の考古学者で、長年カルーサ族について研究してきたジョン・ワース氏によると、マウンド1は以前からカルーサ族の族長の住居があったのではないかと考えられていたという。

「スペイン人はカルーサ族の首都の様子についてリアルに描写しています。トンプソン氏らは、この構造物がスペイン人の記録にある王の住居と同じものであることを、しっかりした証拠によって示したのです」

 米カリフォルニア大学サンタバーバラ校の人類学教授リン・ギャンブル氏によると、スペイン人はカルーサ族について説明する際に「王国」という言葉を用いていたが、人類学者たちは長い間、主として漁労によって食料を得ていた狩猟採集民の社会が王国の定義に当てはまるはずがないと考えていたという。

 学者たちは最近になってようやく、複雑な社会に関する自分たちの考え方が時代遅れになっている可能性に気づきはじめた。「カルーサ族に関する今回の研究は、私たちをそうした思い込みから解き放ってくれるものです」とギャンブル氏は言う。

「研究チームは巨大な住居を丹念に調べ、長い年月にわたって使用されていたことを示しました。この場所で王国が形成されたことについて、説得力ある証拠を示したのです」

 トンプソン氏はほかにも、スペイン人とカルーサ族との関係についてより詳しく教えてくれそうな場所を発掘している。メネンデスらが築いた砦はその1つだ。砦は短期間しか使用されなかったが、かなり大規模で、イエズス会が今日の米国にあたる地域で最初に展開した布教活動「サン・アントン・デ・カルロス」の拠点となった。(参考記事:「先住民と入植者の協力示す壁画を発見、カリブの島」

 トンプソン氏のチームはつい最近も、マウンドキーで2番目に高い場所で、スペイン人が建設した構造物の場所をいくつか確認することができた。今後の発掘調査が待ち遠しい。

【この記事の写真をもっと見る】ギャラリー:カルーサ王国の巨大住居跡を発見、あと4枚

【参考ギャラリー】思わずゾクゾクする考古学フォト13点
【参考ギャラリー】思わずゾクゾクする考古学フォト13点
ラ・ベンタの石頭:1947年のナショジオの写真。メキシコのラ・ベンタでオルメカ文明の巨大な石頭を調査する考古学者たちをとらえている。オルメカ文明はメソアメリカ最初の文明であり、一帯の発展に関する貴重な手がかりの宝庫だ。(PHOTOGRAPH BY RICHARD HEWITT STEWART, NATIONAL GEOGRAPHIC)

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