ティラノサウルスはなぜ「うろこ肌」だったのか

Tレックスのうろこ化石が物語る、恐竜の羽毛進化の新たな道筋

2017.06.09
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研究に使われたTレックスの尾の化石。(PHOTOGRAPH COURTESY OF PETER LARSON)
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羽毛はなぜ消えた?

 もちろん、小石状のうろこの方が例外だった可能性もある。パーソンズ氏によれば、初期のティラノサウルス科に羽毛があった証拠はいくつもあるという。こうした羽毛は現代の鳥類の羽毛に比べると原始的な構造だったそうだ。

 ここで1つの興味深い疑問が生じる。Tレックスのような新しい時代の種が羽毛を失ったのだとしたら、そもそもなぜティラノサウルス科の恐竜は羽毛を獲得したのか?

 パーソンズ氏の答えはこうだ。「間違いなく、体の大きさが関係していると思います」

 動物は体が大きくなるほど、体温を下げることの重要性が増す。大型のティラノサウルス科は獲物を追うために長い脚を獲得した。羽毛は、狩りをした後に体を冷やす妨げになったのではないかと、パーソンズ氏らは考えている。(参考記事:「T・レックスのメニュー拝見、ときには共食いも」

「ゾウ、サイ、カバ、アフリカスイギュウなど、現代の大型陸生哺乳類を思い浮かべてみてください。全く体毛がないわけではありませんが、その量はとても少ないはずです」とパーソンズ氏は話す。(参考記事:「ティラノサウルスは人間サイズだった?」

 同様の見解を示す専門家もいる。米テキサス大学オースティン校の古生物学者で、ナショナル ジオグラフィック協会が支援しているジュリア・クラーク氏は次のように話す。「大型動物には熱損失の問題があります。そのため、体毛や羽毛はあまり多くないと考えられます」

 クラーク氏はさらに、ティラノサウルスでも最大級の種の場合はおそらく、羽毛のない部分も大きいのではないかと言う。「ですから、今回の研究結果はとても理にかなっています」(参考記事:「ティラノサウルスはこんな顔だった、最新報告」

 米ロサンゼルス自然史博物館恐竜研究所の所長ルイス・キアッペ氏も、今回の研究はかなり説得力があり、興味深いと評価する。

 キアッペ氏は電子メールで取材に応え、「今回の研究結果からわかるのは、羽毛の進化がこれまでの予想より複雑だったことです」と述べている。「これは決して意外な結果ではありません。複雑な構造の進化は往々にして複雑ですから」(参考記事:「恐竜から鳥へ 羽はどうやってできたのか?」

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