ネコの不可解な行動の理由は?――専門家に聞く

ミステリアスな生き物、ネコ。読者から寄せられた質問に、2人の専門家が答えた。

2016.05.30
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窓から身を乗り出して外の世界に興味津々なネコ。モロッコにて撮影(PHOTOGRAPH BY MITSUAKI IWAGO, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 どんなに仲良くなっても、ネコは謎が多い生き物だ。私たち人間は、そのよそよそしさに惹かれる一方で、わけがわからない反応に腹を立てることもある。そこでこの記事では、ネコの不可解な行動に関する、読者からの3つの質問に答えてみたいと思う。(参考記事:「犬や猫は「人間アレルギー」になるか」

鳴きまくる

 最初は、コリナ・サンソーネさんご夫妻からの質問。2人は、9歳になるラグドールを、生後5週間のときから飼っている。

 放し飼いだったネコは、2年半ほど前の引っ越しがトラウマとなり、一時的にえさを食べなくなり、夜中に鳴きながら家中を歩き回るようになった。近所のネコやアライグマと何度もケンカをし、獣医に行かなければならないこともあった。しかし、最近では家の中で過ごすことが増えたとサンソーネさんは言う。

 ところがこのところ、また家の周囲を歩きながら大声で鳴き始めた。エサや特別な配慮など、何をしても静かにならない。「とてももどかしく、2人とも困り果てています」(参考記事:「音声学者がネコ語の研究を本格始動」

 英ブリストル大学のネコの専門家ジョン・ブラッドショー氏と米ペンシルベニア大学獣医学部のカルロ・シラクーサ氏は、何よりも先に獣医師による検査を受け、身体的な痛みを排除すべきだと言う。

 たとえば老齢のネコは甲状腺異常を起こしやすい。その症状には余計な動作や鳴き声が増えることがあるとシラクーサ氏。一方、ブラッドショー氏は別の可能性を指摘する。感染症で耳が聞こえなくなっており、「自分の鳴き声が聞こえない」のかもしれない。

 だが、もっとも可能性が高そうな原因は、以前ケンカをした動物が家の周りでたてる音や臭いだとシラクーサ氏は言う。「鳴き声は『自分はここにいる。あっち行け!』というなわばりの主張かもしれません」

 いずれにしろ最良の対策は、ネコを室内で飼うことだ。外に出さないことが、「ネコの安全と医学的健康にとってベストです」とシラクーサ氏は述べる。シラクーサ氏もネコを飼っているが、外出はさせていないそうだ。

 それでも、サンソーネさんのネコは、外にいる動物の音や臭いに苦しめられるかもしれない。その対策としては、クラシック音楽や睡眠誘導用の「ホワイトノイズ発生装置」を使えば、音をかき消すことができる。また、動きに反応してシトロネラ(虫除けに使われる)を噴霧するスプリンクラーなどを家の周囲に設置することで、望まぬ動物を安全に家から――願わくばネコのレーダーからも――遠ざけられるとシラクーサ氏は語る。

鳴き声の科学:ネコの話し方に関する研究 ネコが鳴いているとき、何を訴えているかわかりますか?(解説は英語です)

 そしてブラッドショー氏は、サンソーネさんのネコは、母親から引き離されるのが早すぎたのではないかと付け加えた。「生後8週間が普通なので、(5週間で引き離された)このネコの行動はまだしかるべき段階まで発達していなかったのでしょう」。ストレスの影響を受けやすいのも、そのせいかもしれない。(参考記事:「ネコは撫でるとストレスを感じる?」

よその家に上がり込む

 次は、引っ越しを嫌うネコとは大きく異なり、すぐに新しい家に入りたがるネコだ。

 パットと名乗る読者から、こんな質問があった。飼いネコが数日おきにネコを飼っていない見知らぬ人の家に上がり込んではベッドに直行するのだが、その理由を知りたいと。

 シラクーサ氏によると、特定の臭いがそのネコを惹きつけている可能性がある。それに、寝室にはクローゼットがあり、隠れる場所がたくさんある。ネコはそのことを知っているのかもしれない。

 とてもかわいがられているネコでも、「時にテリトリー拡大の可能性を調査」して、新たな安息所の候補をチェックして回ることがあるとブラッドショー氏は語る。

 これについては心配無用だ。単なる「自立した性質」のサインなのだから。(参考記事:「外へ出たネコはどこへ行くのか?」

私の帰宅がわかる

 最後に、米ナショナル ジオグラフィックのクリスティン・デラモーレが飼っているネコは“千里眼”ではないかという質問である。クリスティンの夫いわく、子ネコのスノーリーは、クリスティンがアパートの建物に入ると1階の玄関まで走って行くそうだ。一方、クリスティン以外が建物に入って来ても無反応だという。

「なぜ私だとわかるのかしら?」とクリスティン。

 ネコの聴覚と嗅覚は、人間とは比べものにならないほど優れている。それらの感覚を使って、人が知るよりもずっと早く人を識別できるとブラッドショー氏は解説する。(参考記事:「ネコは飼い主をネコと思っている?」

 たとえば、レーダーのようにくるくる動かせるネコの敏感な耳は、人の足音や鍵をジャラジャラ鳴らす音などの小さなノイズを容易に聞き分けられる。

 それに、ネコは人間に依存しており、私たちの毎日のパターンや行動に細心の注意を払っている。そのため、日々の習慣が途切れると、すぐにそれに気付く。

 ロビーを歩くクリスティンの足音――くしくも缶切りで缶を開けるときの音に似ている――は、スノーリーにとってはご飯タイムの合図なのだろう。

誰もが見たことある、猫たちの「ぶるっ」の瞬間が写真集に! 耳もアゴも全身の毛も一心不乱にぶるぶるさせる姿は思わず笑ってしまうが、なぜかカワイイ。

写真集「ぶるにゃん」
価格:本体1600円+税
カルリ・ダビッドソン 著
安納 令奈 訳
サイズ:サイズ:天地184mm×左右166mm
144ページ

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文=Liz Langley/訳=堀込泰三

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