「青空は年に数日」 中国・大気汚染と闘う街

重工業の都市、唐山で国の取り組みと人々の思いを取材した

2017.05.10
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唐山の市場で売るタマネギを袋詰めする商人。重工業は多くの雇用を提供するが、ほかの産業が経済基盤になることを望む人は少なくない。(PHOTOGRAPH BY NICOLAS ASFOURI, AFP, GETTY IMAGES)
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自然を夢見る唐山

 1976年の地震から40年の節目を迎えた昨年、唐山市では世界園芸博覧会が開かれた。この大規模イベントの会場として使用されたのは、かつての炭鉱だ。

 街の中心部付近で、おしゃれなメガネをかけ、ツンツンと尖った髪型をした製鉄所の工員に話を聞いた。雇用主の怒りを買いたくないので匿名にしてほしいという彼は、5年間で賃金が20%下がったと嘆く。彼によると、その原因は減少する鉄鋼需要と、環境規制による影響の両方だ。それでも、唐山は住むのには悪くない場所だと彼は言う。楽園とまではいかなくとも、生活のペースは穏やかで、海も近い。

「ただし環境汚染だけは勘弁してほしいですね。ここでは青い空は年にほんの数回しか見られません」。園芸博の期間中、市内の製鉄所は排気を減らすために生産量を控えていた。

 ワン・ジン・ボー氏の妻が経営する店の中、石炭ストーブから上がる煙が部屋を満たしていく。ワン氏はこれから、息子の学校で開かれる会合に出かけるところだ。煤まみれのトラックが1日中、轟音を立てて走り回り、すぐそばには製鉄所があり、通りの先には石炭が山と積まれているが、唐山で育ったワン氏の妻は、環境汚染はほとんど気にならないと語る。(参考記事:「ハルビンの大気汚染、主因は暖房設備か」

 それでも彼女は、自分の息子には今とは違う生活を送らせたいと夢見ている。父親のような重労働ではなく、もっと楽な事務仕事をさせてやりたい。ただし悩みは、息子の成績が芳しくないことだ。南部に行くのもいいかもしれないと、彼女は言う。あっちなら冬は暖かいし、「木々や花も多くて、丘や、川もありますから」

文=Beth Gardiner/訳=北村京子

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