世界で最も深い海、マリアナ海溝の様子を、米海洋大気局(NOAA)の探査チームが2016年7月10日までライブ配信している。最も深いところで水深1万1000メートルにも達するこの海域の貴重な映像をリアルタイムで見ることができる。
これまでに探査チームが撮影した映像からは、奇妙な光るクラゲや海綿動物、ヒトデ、イソギンチャク、ナマコなど深海の珍しい生物が数多く見つかっている。映像を送ってくるのは、NOAAの調査船オケアノス・エクスプローラー(Okeanos Explorer)が遠隔操作する探査機の3つのカメラだ。(参考記事:「【動画】オケアノス・エクスプローラー、深海で幽霊のようなタコを発見」)
同船は、4月からマリアナ諸島海域で調査航海を行っている。太平洋の西、フィリピンの東側に位置するマリアナ海溝は、エベレストの標高よりも深く、人類が過去に訪れたことはほんの数回しかない(最近の訪問者は映画監督として知られるジェームズ・キャメロン氏で、2012年のことである)。(参考記事:「ジェームズ・キャメロン、深海への挑戦」)
今回の調査の目的は、マリアナ諸島とその周辺海域でサンゴ礁をマッピングし、海洋生物の目録を作成すること。また、熱水噴出孔や海山、沈み込み帯の調査も行う。2009年以降、この海域の大半は、マリアナ諸島とグアム島を統治する米国によって「マリアナ海溝海洋モニュメント」として保護されている。(参考記事:「藤原義弘:深海生物はどうやって深海で暮らせるようになったのか」)
ところが、こんなに辺ぴな深海であるにもかかわらず、海底には人間が捨てたゴミが見つかっている。
同プロジェクトのウェブサイトには、このようにつづられている。「深海で働いているというと、手付かずの環境ばかりを目にすると思うかもしれません。しかし、残念ながらそうではないのです」(参考記事:「深海魚ハナトゲアシロの奇妙な容貌が話題」)