米スペースX、2018年の火星探査計画を発表

ドラゴン宇宙船の後継機を火星へ、最終目標は火星移住

2016.04.28
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火星に降り立ったレッド・ドラゴン宇宙船を描いたコンセプトアート。(ILLUSTRATION BY SPACEX)
火星に降り立ったレッド・ドラゴン宇宙船を描いたコンセプトアート。(ILLUSTRATION BY SPACEX)
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 米スペースX社の創設者イーロン・マスク氏は、火星で死にたい(衝突ではなく)と言ったことで有名だ。同社は4月27日、宇宙船レッド・ドラゴンを2018年までに火星に送る計画を発表した。最初のフライトは無人だが、火星に宇宙飛行士の足跡を付けるための重要な一歩となるだろう。(参考記事:「スペースXで世界初の民間商用宇宙船開発に携った日本人」


 火星探査を目論むのはスペースXだけではない。中国が先週、2020年に火星に宇宙船を送ると発表したばかりだ。地球と火星はその年(2018年にも)、惑星間飛行がしやすい位置関係になる。

 どちらの取り組みも詳細は不明だが、中国国家航天局(CNSA)の許達哲局長は、同国のミッションがかなり複雑なものになることを示唆している。

 新華社の報道によると、同局長は4月22日、「この無人探査機は、火星を周回飛行した後に着陸し、ローバーを配備することになる。これを1回のミッションで行うため、達成は極めて困難だ」と述べた。しかし、中国は月で同様のミッションを成し遂げている。同国の嫦娥3号は2013年、月の周回軌道に入り、着陸し、月面ローバー玉兎号を配備した。

 マスク氏は9月にメキシコのグアダラハラで開催される国際宇宙会議において、火星探査計画の詳細を発表すると見られている。これには、2020年代のどこかで火星に人を送るという、NASAとのコラボレーション探査プログラムが含まれる可能性がある。

 NASAのディーバ・ニューマン副長官は、「米国企業との数あるワクワクする話の中でも、特に我々が楽しみにしているのがスペースXとのプロジェクトだ。これは、同社との間で結んでいる『資金を交換しない』協定に基づくものだ」と4月27日のブログに記している。

「火星への大気圏突入、下降、着陸に関するデータをスペースXから提供してもらう代わりに、NASAからは同社の無人宇宙船ドラゴン2を火星に着陸させる計画への技術サポートを行う」

課題はロケット

 無人宇宙船の火星着陸は、火星移住に向けた最初の一歩になる。火星移住は、マスク氏が10年以上前にスペースXを立ち上げたときの目標の1つだ。火星に大量のペイロード(積載物)を着陸させることは決して簡単ではない。宇宙船の質量だけでなく、大気が薄いため、下降中のパラシュートによる減速ができないのだ。

 とてつもなく高額な積載物(人間を含む)を安全に着陸させるための技術を検証するために、早めの試験ミッションが必要である。

 スペースXは現在、推進技術を利用して、ドラゴン2の後継となるレッド・ドラゴンシリーズを着陸させる計画のようだ。

 マスク氏は、「ドラゴン2は太陽系のどこにでも着陸できる設計になっている。レッド・ドラゴン火星計画は、初の試験飛行だ」とツイートしている。しかし、ドラゴンは有人飛行には向かないとも述べている。「長旅は楽しいものではないだろう。内部容積は、SUV程度だから」(参考記事:「ドラゴン、2012年にISSと初のドッキングへ」

ファルコン・ヘビー・ロケットの打ち上げを描いたコンセプトアート。(PHOTOGRAPH BY SPACEX)
ファルコン・ヘビー・ロケットの打ち上げを描いたコンセプトアート。(PHOTOGRAPH BY SPACEX)
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 火星にレッド・ドラゴンを送る計画の実現可能性は、ロケット「ファルコン・ヘビー」にかかっている。同社は今年中に同ロケットをデビューさせると予告しているが、これまでに何度か打ち上げ延期が続いている。(参考記事:「ロケットの垂直着陸に成功、ファルコン9で2例目」

 米ハーバードスミソニアン天体物理学センターの天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏は、スペースXの計画には「ロケット、宇宙船、資金、NASAからの技術供与」があるため妥当ではあるが、「ファルコン・ヘビーのスケジュール延期の可能性が高く、ややもすれば2020年ぐらいになるかもしれない。彼らが2018年に成し遂げたなら、私は驚嘆、感心するだろう」と述べている。

 スペースXはまだ、プラネタリープロテクションの課題対応について公式に発表していない。プラネタリープロテクションとは、異星に降り立つ宇宙船が、地球の生命体によってその世界を汚染するリスクをもたらしてはならないという考え方だ。同社は過去に、火星のプラネタリープロテクション計画策定時にはNASAに助言を求めると発言している。

 さらに、飛行士が片道旅行を志願しない限り、帰還方法に関する問題が付きまとう。わずか数人とは言え、これはマスク氏にとっても重要な問題となるだろう。(参考記事:「イーロン・マスク氏が構想する夢の超音速列車「ハイパーループ」」

文=Nadia Drake/訳=堀込泰三

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