【動画】ヘラジカの角が頭を振っただけでポロリ

ヘラジカの角が落ちる貴重な瞬間が撮影された

2016.03.14
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【動画】ヘラジカの角が落ちる瞬間(解説は英語です)

 米ワイオミング州の家族が、貴重なシーンを動画に収めた。ヘラジカ(ムース)の角が、頭からポロリと落ちる瞬間だ。

「ヘラジカが頭を振ったら、角が落ちたんです! もうびっくりしました」と、一家の山小屋の外で一部始終を目撃したキム・エバーハート氏は言う。「その後、ちょっと怯え、茫然としているようでした。そして、首を振りながらとても悲しそうな音を立てていました」

 エバーハート氏のおじが撮影した動画では、女性のこんな声が聞こえる。「痛くて泣いてるのよ。かわいそう」

 しかし、ヘラジカ生態学者で作家でもあるカナダ、アルバータ大学のビル・サミュエル氏によると、このヘラジカはむしろ安心している可能性が高いという。ヘラジカやその他のシカの親戚は毎年角を落とすもので、そのプロセスには痛みを伴わないそうだ。

 作家アート・ロジャース著『ムース』には、こう書かれている。「通常、1本の角が落ちると、数時間から数日のうちにもう1本も落ちます。時には、プロセスを早く終わらせるために、古い角を木にたたきつける個体もいます」

 それでも、実際にその瞬間を目撃するのは極めて珍しいことだとサミュエル氏は述べた。

戦闘装備

 オスのヘラジカは、毎年春から夏にかけて角を伸ばす(メスは伸ばさない)。角は頭蓋骨の延長であり、骨でできている。最初は皮膚層に覆われた袋角の状態だが、成長が終わると皮膚層は剥がれ落ちる。早く剥がすために、木にこすりつけるヘラジカもいる。(参考記事:「シカの角成分、その効能は?」

 初秋には角が生えきっている。オスがメスを魅了するために大声で鳴き、角を使ってライバルと戦う季節だ。交尾が済むと、オスとメスは散り散りに去っていく。

 ヘラジカはシカの世界最大種であり、体重は800kg、高さは2mを超える。角の端から端までの幅は1.8m、重さは18kgになる。ヘラジカは北米北部、欧州、シベリアなどに広く生息している。

角を落とすには早すぎる?

 エバーハート家の動画は、11月末に撮影された。サミュエル氏によると、ヘラジカは通常12月中旬から1月末の間に角を落とすというので、それに比べるとやや早い。

 歳を取っているほど角を落とす時期が早いことが知られている。動画のヘラジカはまだ若く見えるが、自然界の多様性を考慮すれば、早めに角を落とすヘラジカがいても驚きではない。

 北米のヘラジカのうち、ワイオミング州など南方に分布するものは、ダニの増加に苦しめられている。ヘラジカに寄生するダニ(Dermacentor albipictus)は、同地域がここ数年経験しているような比較的暖かい冬に増殖する(気候変動との関連性が考えられる)。あまり多く寄生すると、ヘラジカが衰弱死に至ることもある。特に、こどもは弱い。(参考記事:写真がスゴイ!「ダニの奇妙な世界」

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文=Brian Clark Howard/訳=堀込泰三

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