5月にケープタウンの水がなくなる、非常事態

南アの大都市で未曽有の水不足、都市の渇水は世界各地で起きている

2018.02.07
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オアシス都市のはずが

 南アフリカは乾燥した土地だが、ケープタウンは砂漠に囲まれた地中海気候のオアシスだ。温暖な海から吹いてくる風をテーブルマウンテンがせき止めて雨を降らせ、力強い川となり、帯水層を満たしている。その美しさに惹かれて人口は天井知らずに増加し、街は繁栄し、プールや水上公園、ワイナリー、緑豊かな庭園が作られた。しかしその一方で貧困地区に住んでいる人も多く、失業率は25%を超える。(参考記事:「夜明け前のテーブルマウンテン」

 20年以上前から、市は脅威が増しつつあることを認識していた。これまでに市当局は主要な貯水池6カ所からの水の使用量を削減した。1人当たりの消費量は減少し、市は水漏れを減らす措置を講じつつ、大口利用者の水道料金を値上げし、水の効率的な利用を広く呼びかけた。ケープタウンは水管理に関する国際的な賞を複数受賞しているほか、水の使用量が特に多い利用者については名前の公表まで行っている。

【動画】かつては水をたたえ、多くの魚がすんでいたグアテマラのアテスカテンパ湖が干上がった。近隣の住民は飢えに苦しみ、移住を余儀なくされている。(この動画の記事:「湖が消えた… 中米「乾燥回廊」に最悪級の干ばつ」)(解説は英語です)

 しかし一方で、当局はよくあるミスを犯していた。将来の降雨パターンについて、過去のそれとほぼ同じか、少なくともそうすぐには変わらないと予想していたのだ。

 10年前から、ケープタウンは人口増加と、気候変動に伴う乾燥、気温上昇、冬の雨の減少、川の流量減少に対応するために、新たな水源を見つける必要があると言われていた。(参考記事:「地下水が危機、今世紀半ば18億人に打撃」

「警告はありました。しかし、計画中の学校や病院といった課題に注がれる人々の関心を、水問題に向けさせるだけの力はありませんでした」と、ウィンター氏は言う。

 そして危機は突然に訪れた。2014年時点では6つのダムが満タンだったが、それから3年間にわたって干ばつが続いたのだ。これは過去100年以上で最悪の事態だ。NASAのデータによると、ダムの貯水率は現在26%で、なかでもケープタウンの水の半分を供給している最大級のダムの貯水率が最も低い。市当局は、貯水率が13.5%になれば断水に踏み切るとしている。(参考記事:「【動画】湖底に沈んだゴーストタウンが出現」

 現在も続くこの乾燥が、どの程度、気候変動とは関係のない自然変動によるものなのか、はっきりとはわからない。しかし「ケープタウンの現在のシステムでは備えが十分でないことは明らかです」とオリビエ氏は言う。「これだけ深刻な干ばつは、この先数十年起こらないかもしれません。しかし極端な気象現象は、この先増える一方でしょう」(参考記事:「温暖化で6万人弱が自殺と推算、インド、30年間で」

 こうした気象の影響は、ケープタウン以外にも世界各地で現れている。

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