ゴードン氏によると、ペッサリーは「一種の隔壁」となる避妊具だ。子宮の入り口部分で子宮をふさぐために使用される。写真は紀元前200~西暦400年ごろのものと推定される古代ローマの青銅製ペッサリー。(PHOTOGRAPH BY SCIENCE MUSEUM, LONDON, WELLCOME IMAGES)
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 ローマ教皇フランシスコは2月18日、「避妊は絶対悪でありません」と述べ、ジカ熱の脅威にさらされる国に住む女性の避妊を容認する見解を示した。人類がはるか昔から行ってきた避妊に対し、カトリック教会が歴史的にとってきた立場を考えると、ローマ教皇の発言は大きな変化ととらえることができる。(参考記事:「ジカ熱の流行は中絶に対する考えを変えるのか?」

 避妊には経口避妊薬のほか、さまざまな避妊具が使われ、その歴史はとても長い。米国での避妊と中絶について書かれた『Woman's Body, Woman's Right: Birth Control In America』の著者アイリーン・リンダ・ゴードン氏は「人類は社会を形成して以来、ずっと避妊を行ってきました」と述べる。

 例えばスポンジで。「スポンジは何千年も前から使用されています」とゴードン氏は語る。スポンジを子宮頸部に入れると「精液を吸収するため、自然な形でかなり効果的に避妊できます」

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 コンドームも伝統的な避妊具だ。何百年も前から存在し、19世紀にゴムが普及するまで、ほとんどが動物の皮や腸で作られていた。殺精子剤も古くから使われている。現在は殺精子剤入りのコンドームもあるが、はるか昔はレモン汁などの酸性物質が使用されていた。昔の人たちは避妊効果を高めるため、レモン汁と蜂蜜を混ぜたものをスポンジに擦り込んでいたのだ。(参考記事:「ナポレオンも撃退した!レモンの博物誌」

 こうした方法は現代のものほど安全性も効果も高くない。初期の子宮内避妊器具(IUD)は装着感がひどく不快で、感染の原因にもなっていた。それでも、使用され続けていたということは、避妊したいという気持ちがとても強かったのだろう。人々は教会や国が認めていようがいまいが、歴史を通じてさまざまな方法で避妊を試みてきた。それは現代も変わらない。(参考記事:「中国の一人っ子政策が生んだもの」

「カトリック教会は公式に避妊を認めていませんが、避妊が最も広まっているのは、カトリック信者が多いフランスやイタリアです」とゴードン氏は話す。「(米国では)カトリックの女性の98%が避妊を行っています。つまり、公式な教義と慣習には大きな隔たりがあるということです」

 今回のローマ教皇の発言は、男女が生殖をコントロールしているという統計上の水準と、避妊を認めないという文化的規範にある隔たりを1歩縮めることになる。(参考記事:「ローマ教皇フランシスコの率直すぎる10の発言」