プロトケラトプスのえり飾りは求愛のため、新説

成長するにつれ、派手になっていくことが骨から判明

2016.01.26
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フリルを誇示するプロトケラトプス(Protoceratops andrewsi)の成体の想像図。遠方にいるのはプロトケラトプスの幼体。(ILLUSTRATION BY REBECCA GELERNTER, QUEEN MARY UNIVERSITY OF LONDON)
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 トリケラトプスと近縁の恐竜プロトケラトプス(学名:Protoceratops andrewsi)が、後頭部のフリル(えり飾り)を使ってライバルを威嚇したり、異性を惹きつけたりしていたことを示唆する論文が、このほど英国の学術誌『Palaeontologia Electronica』に発表された。

 角竜の後頭部にある骨質の巨大なフリルについては、何のためにあるのか長年論争が続いている。発見される化石の数だけ様々な説があるといっていい状況だ。身を守るための盾という説や、体温調節のためのラジエーターのようなものという説もあったが、現在はその可能性は薄いとされている。(参考記事:「新種の恐竜レガリケラトプス発見、飾りはレトロ」

「角竜は本当に厄介です。フリルと角についてはさまざまな仮説がありますが、どれをとってもいくつかの種にしかあてはまらないのです」と、今回の論文の筆頭著者である、英ロンドン大学クイーン・メアリー校のデビッド・ホーン氏は語る。

化石37体を比較

 今回、同氏が着目したのはプロトケラトプスの化石。今から7000万年以上前にモンゴルに生息していた、ヒツジほどの大きさの角竜だ。(参考記事:「成獣の骨格、プロトケラトプスの巣」

 研究チームが37体におよぶプロトケラトプスの標本を詳しく測定したところ、体が成長するにつれ、ほかの部位に比べてフリルがより大きくなっていくことが明らかになった。つまり、角竜のフリルは成体になってからの方が重要な役割を果たすことが分かる。同様にプロトケラトプスの尾と、牙のような歯も、成体に近づくにつれ急激に成長していたと判明した。

 現代の動物にも同じような成長の仕方をするものがある。こうした動物では、社会的争いを解決する(つまり、異性を惹きつけ、ライバルを撃退する)ため、際立った特徴が発達する。いわゆる性選択が起こるのだ。「集まってくるデータを見ると、性選択や社会的優位性が関連しているという仮説しか考えられませんでした」とホーン氏。(参考記事:「プロトケラトプスの赤ちゃん15体が密集する化石を発見」

 しかし、その解釈に納得しない人もいる。米カリフォルニア大学バークレー校のケビン・パディアン氏は、「彼らの説は憶測にすぎません。自分たちの解釈が間違っている可能性を考慮していないからです」と言う。パディアン氏と米モンタナ州立大学のジャック・ホーナー氏は近年、角竜はフリルによって同種の仲間を認識していたという説を強く主張している。

 これに対して、ホーン氏と共同研究をしたこともある米レイモンド・M・アルフ古生物学博物館のアンディ・ファルケ氏は、恐竜が同種の仲間を見分けるのに苦労していたかどうかは分からないと指摘する。「ある特定の地域には1種しかいないことが多いのです。30種もの角竜が、すぐ近くで暮らしていたというわけではありません」

 パディアン氏とホーナー氏は、ホーン氏が性選択に言及したことにも眉をひそめる。なぜなら古生物学者が恐竜の骨格のみから性別を見分けることは難しく、恐竜の求愛行動について推測することなど、ほとんど不可能だからだ。

鳥類を進化させた性選択

 しかし、現代の動物を研究した結果からは、性別の区別がつきにくい種でも、性行動と社会化によって際立った特徴が生じることが示されている。例えば、コクチョウのオスとメスはどちらも縮れた羽毛を持ち、これを利用して異性を惹きつけ、社会的争いを解決する。

「性選択に関する文献のほとんどは、鳥類の研究によるものです。鳥類は恐竜の子孫であることを忘れてはいけません」と、オランダ、アムステルダム自由大学のケン・クラーイエフェルト氏は語る。彼は、コクチョウを含む現代の動物が特徴を進化させる過程について研究している。「鳥類で重要な役割をもつ行動が、恐竜においても重要であったと考えることは、こじつけとは思いません」(参考記事:「ニワシドリ、あずまやをつくって求愛」

 生物学者とは違い、古生物学者が研究できるのは恐竜の骨だけだ。若い角竜が、どんどん大きくなる厄介なフリルを何に使っていたのか、骨だけから突き止めるのは困難を極める。「野生の角竜を実際に観察することはできません。角竜のフリルは威嚇や求愛に使われていたかもしれませんが、それを検証するのは不可能なのです」とファルケ氏は言う。(参考記事:「鳥類は恐竜絶滅後に爆発的進化した」

文=Michael Greshko/訳=三枝小夜子

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