氷漬けのヘラジカ2頭見つかる、格闘中だった

角が絡み合い、互いに身動きが取れなくなった

2016.11.24
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 格闘中に氷から抜け出せなくなった2頭のオスのヘラジカ(ムースとも呼ぶ)。彼らの最後の戦いは、文字通り凍結された。

 2016年11月初旬、ベーリング海沿いの米国アラスカ州ウナラクリートで、厚さ20センチの氷に埋もれたヘラジカたちを2人のハイカーが見つけた。(参考記事:「動物大図鑑 ヘラジカ」

「2頭のオスがメスをめぐって格闘しているうちに膠着状態になり、氷に閉じ込められたのだろう。このまま取り出して、世にも珍しい剥製を作りたい」と、発見者に呼ばれてこのヘラジカを見に来たジェフ・エリクソン氏はフェイスブックに書いている。

 そして数日後、同氏はヘラジカを氷から取り出し、「次はきれいに洗ってやらなくちゃ」と書いた。「たぶん一生に一度の経験だ」

 このヘラジカを最初に見つけたのは、エリクソン氏の友人で、理科と社会科の教師をしているブラッド・ウェブスター氏。最近アラスカに引っ越して来た別の友人とともに、自分が管理しているキャンプ場を見て回っている時のことだった。

 おそらく、2頭のヘラジカが縄張りかメスをめぐって争っているときに角が絡まってしまったのだろう、と2人はフェイスブックでコメントしている。秋の繁殖期には、オスは他のオスに対して非常に攻撃的になりがちだ。(参考記事:「【動画】ヘラジカ、住宅地で迫力のガチンコ対決」

 冷たい水に落ちて溺れ、そのまま気温の低下で急速に凍った可能性が高いというのが2人の考えだ。

【参考動画】音楽好きのヘラジカがチャイムを演奏? 米国アラスカ州の田舎で、玄関先に吊されたチャイムをいじっているヘラジカ。デナリ国立公園の近くの丸太小屋に住む撮影者ブリッタ・シュローダー氏は、庭にヘラジカがいるのを見たことはあるが、こんな「演奏会」を目撃したのは初めてという。

 カナダのアルバータ大学を引退した生物学者でヘラジカの専門家、ビル・サミュエル氏にとってもこんな様子を見たのは初めて。だが、この動物の力の強さと角のでこぼこした形状を考えると、お互いの角が絡んで身動きが取れなくなることもあるだろうと語る。「体の大きさが同じくらいのオス同士が、威嚇し合うだけでは優劣を決められない場合、まれにこういうことが起こります」

 サミュエル氏によれば、角が絡まった2頭のヘラジカの頭骨はこれまでも時おり見つかっているが、氷の中で発見されたのは最近の記録では初めてだ。

 オジロジカやアカシカの場合はヘラジカより角が絡み合いやすいが、それでも珍しいことに変わりはないとサミュエル氏。同じように、ハクチョウでも争っているあいだに首が絡まってしまうことがたまにある。(参考記事:「【動画】ペンギンの夫と愛人の熾烈な戦い」

「身動きが取れなくなった2頭のシカが、そのままコヨーテに食べられてしまったという話を聞いたことがあります」とサミュエル氏は付け加えた。「自然もひどく意地悪なときがあるんですね」

文=Brian Clark Howard/訳=山内百合子

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