ワニのミイラ包みをCTスキャンで調べたところ、予想外の中身が見つかった。画像を拡大してみると、小さな赤ちゃんワニの姿が何匹も確認できる。(Photo courtesy Interspectral)
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 古代エジプトのミイラを包む布をほどき、来館者が自在に「バーチャル調査」できる。…そんな新しい展示の準備を進めていたオランダの博物館で、驚きの発見があった。2匹のワニのミイラがくるまれていると考えられていた包みの中に実は、全部で50匹近いワニが“同居”していたのだ。(参考記事:「動物のミイラの“ヘ~!?”な真実」

大きなワニ(赤い部分)の周囲に寄り添うように、孵化したばかりの小さな赤ちゃんワニたち(青い部分)が並んでいる。(Photo courtesy Interspectral)
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 布で包まれたミイラは全長3メートル近くある。1990年代に行われたCTスキャンによる調査で、中身は1匹の大きなワニではないことが判明し、小さめの若いワニ2匹の姿が確認されていた。しかし当時の画像の精度では、そこまでしかわからなかった。

布をすっかり巻かれた状態のミイラ。(Photo courtesy Interspectral)
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赤ちゃんワニ47匹を発見

 新たな展示の準備にあたり、博物館の学芸員たちはこの包みを最新の装置でスキャンして3Dデジタル画像を作成した。すると驚いたことに、さらに47匹の赤ちゃんワニが新たに見つかったのだ。赤ちゃんワニはすべて、2匹の大きなワニと同様に、個別に布に包まれてミイラ化されていた。(参考記事:「エジプトの猫ミイラ、新X線技術で撮影に成功」

 CTスキャンを利用すれば、ミイラを傷つけることなく、「内部がどうなっているのかを非常に詳細に観察できる」と、博物館の保存技術者アリソン・ルイス氏は言う。

2匹の若いワニと、それを包む布が写ったスキャン画像。以前に行われた調査で見えたのはこれだけだった。だが最新の装置を使って調べてみると、包みの中には数十匹の小さなワニもいたことが判明した。(Photo courtesy Interspectral)
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高解像度の画像では、若いワニの周囲に並んだ、赤ちゃんワニ(青)の姿が確認できる。(Photo courtesy Interspectral)
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 オランダのライデンにある国立古代博物館では、1828年からこのワニのミイラを所蔵してきた。同館の学芸員ラウラ・バイス氏によると、約2500年前に作られたこのミイラは、おそらくワニの神セベクにささげられたものだという。

 古代エジプト人は死後の生を信じていた。赤ん坊と若いワニの両方をミイラにして神にささげたのは、そのためかもしれないと、バイス氏は述べている。(参考記事:「世界各地のミイラ、ちょっと意外な作成法も」

 神への供物として複数のワニをミイラ化する事例は、これ以外にも見つかっている。ロンドンの大英博物館では2015年、生前は(生け贄にするために飼われていたのではなく)セベク神の化身としてあがめられていたと思われる1匹のワニが、その死後、孵化したばかりの赤ちゃんワニ20匹と一緒にミイラ化されたものが展示された。米国カリフォルニア州のハースト人類学博物館でも、2例が確認されている(→次ページにフォトギャラリー)。(参考記事:「エジプトのワニのミイラ:複数体の骨」

博物館の来館者はこの画像のように、ワニのミイラの包みを外側から順に解いていき、「バーチャル調査」を楽しむことができる。(Photo courtesy Interspectral)
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 ライデンの博物館で近く公開される展示は、バーチャル技術を駆使したものになる予定だ。来場者はコンピューター上で、ワニのミイラを幾重にも包んでいる布などを1枚ずつはがしていき、中にいる49匹のワニを観察することができる。また同様に、古代エジプトの神官のミイラの布を解いて、その装飾をじっくりと眺められる企画も用意されている。

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