【動画】サメやクジラも結集!「世界最大の魚群」

何億匹ものイワシが群れる南アフリカ沖の「イワシ祭り」

2016.11.10
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南アフリカ沿岸にごちそうを満喫しにやってきたサメやイルカ、クジラたち。

 年に1度、南アフリカで起こる驚くべき自然現象。そこでは数え切れないほどの海の生物や鳥たち――イルカやカツオドリの群れなど――を間近に見ることができる。集まってくる動物たちのお目当ては、母なる自然の驚異としか言いようのないパフォーマンスを繰り広げる、何億匹ものイワシの仲間、サーディン(Sardinops sagax)たちだ。

 この現象は「クワズール・ナタールのサーディンラン」として知られており、「世界最大の魚群」と呼ばれることもある。

 サーディンランが発生するのは通常、5月から6月にかけてで、サーディンの巨大な群れが南アフリカの東海岸に位置するクワズール・ナタール州の沿岸を、北へ向かって泳いでいく。南半球が冬を迎えるこの時期、一帯の水温が下がりはじめて摂氏22度を下回るようになると、サーディンが泳ぎ回るのに適した海域が広がっていく。(参考記事:「アフリカ南部の海 保護と漁のはざまで」

 その結果、冷たい水に誘われたサーディンが、黒く巨大な塊となって岸近くまでやってくる。サーディンを餌とするサメやクジラなどの大型捕食者にとって、この大移動は感謝祭のディナーのようなものだ。(参考記事:「サメが群がる「狂乱索餌」の動画が話題に」

 1年のうちこの時期にしか発生しないサーディンランは、「途方もないショーを目撃できる」貴重な機会だと、ケープタウン大学海洋研究所の研究員、カール・ファン・デルリンゲン氏は言う。「彼らは普段、沖合にいるため、滅多に見られません。ランの最中には、魚たちがさらされるとてつもない捕食圧と、サーディンと捕食者が絡み合う様を目の当たりにすることができます」(参考記事:「【動画】ザトウクジラが桟橋前で大口開け食事」

 鳥類保護NGO「バードライフ南アフリカ」のパメラ・イズデル・ペンギン保護フェローであるクリスティーナ・ヘーゲン氏は、サーディンランは多様な生物を引きつける磁石だと語る。サーディンを目当てにやってくる動物は、アホウドリ、ケープシロカツオドリ、ケープペンギン、ザトウクジラミナミアフリカオットセイ、イルカ、サメなどだ。(参考記事:「シロカツオドリの勇姿」

4億3000万匹のイワシに1万頭のイルカ

 ファン・デル・リンゲン氏によると、ランに参加している魚の数は数億匹にのぼるという。

「我々はこれまでに3度、ランの最中に東海岸で調査を行っており、各回ともサーディンの量はおよそ3万トンでした」。魚1匹の重さを70グラムとすると、その総数は4億3000万匹という計算になる。

 ファン・デル・リンゲン氏はまた、ランには1万頭近いマイルカ、数千羽のカツオドリが参加していたと推測している。

 比較的狭い範囲に恐ろしいほどの数の魚が集中することが、これほど多くの捕食者を引きつける原因だとヘーゲン氏は言う。

「サーディンランのすばらしさは、魚も捕食者もとにかく数が多いこと、そしてそのすべてが1カ所に集まってくることにあります。生物量から言えば、東アフリカで見られるヌーの大移動を超える規模です」

 クワズール・ナタールのサーディンランは、一般の人々が毎年、海岸で見物できるショーというだけでなく、ファン・デル・リンゲン氏のような科学者たちをも魅了する自然現象だ。何が集まってくるのかということ以外にも、彼らはなぜ集まってくるのかというのも、非常に興味深い問題だ。

「その答えにはほぼ見当がついています」とファン・デル・リンゲン氏は言う。サーディンランは「おそらくは明確な遺伝的特徴を持つサーディンのある集団の産卵回遊であると考えられます」(参考記事:「群れのセオリー」

文=Alexandra E. Petri/訳=北村京子

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