アフリカ西部の国、ガボンで撮影したぶら下がるウマヅラコウモリ。長く突き出た鼻を持つのは求愛の歌を歌うためだ。(Photograph by Hugh Maynard, Nature Picture Library)
アフリカ西部の国、ガボンで撮影したぶら下がるウマヅラコウモリ。長く突き出た鼻を持つのは求愛の歌を歌うためだ。(Photograph by Hugh Maynard, Nature Picture Library)
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 今年のハロウィンは終わってしまったけれど、おかしな仮装は年々エスカレートするばかり。だが、そんな仮装など目じゃない“毎日がハロウィン”なへんな生きものたちを紹介しよう。(参考記事:「ハロウィンのトリビア」

 たとえば、中央アフリカに生息するウマヅラコウモリ(Hypsignathus monstrosus)は、まるでハロウィンの仮装をしたような姿だが、馬づらになるのはオスだけで、この大きな鼻には理由がある。

 米国ミシガン州を拠点とするコウモリ保護協会のロブ・ミース氏によれば、オスはメスを引き寄せるためにクラクションのような鳴き声をあげる。オスの喉頭は体長の半分以上あることから、この愛の歌がオスにとってどれほど重要なものかがわかる。(参考記事:「かわいい?コワい?だから魅力的なコウモリ写真集」

 若いオスのコウモリが集まる場所はレックと呼ばれ、メスがやってくると、羽をはばたかせて求愛行動を行う。

「この歌とダンスは壮観です」とミース氏。そうにちがいない。オスは羽を広げると1メートルほどになる。(参考記事:「【動画】洞窟にぶら下がるヘビがコウモリを襲撃」

サーカスティックフリンジヘッド

コケギンポの一種であるサーカスティックフリンジヘッドは、卵や縄張りを守るために鋭い歯や棘を使って戦う。(Photograph by Joel Sartore, National Geographic Photo Ark)
コケギンポの一種であるサーカスティックフリンジヘッドは、卵や縄張りを守るために鋭い歯や棘を使って戦う。(Photograph by Joel Sartore, National Geographic Photo Ark)
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 太平洋に生息する超コワモテのこの魚のオスは、卵や縄張りをおびやかす者に容赦なく襲いかかり、派手な色の口をハロウィンかぼちゃもびっくりするほど大きく開けて威嚇する。(参考記事:「敵を威嚇するサメのライト・セーバー」

 サーカスティックフリンジヘッド(Neoclinus blanchardi)はコケギンポの仲間で、体長は25センチほど。戦うときは、口を押しつけ合うように相手を退ける。米国フロリダ自然史博物館の魚類の専門家、ジョージ・バージェス氏によれば、それは「まるで自然界の相撲です」(参考記事:「オスがメスに、メスがオスに1日20回も変わる魚」

大口を開けるサーカスティックフリンジヘッド その風貌から日本語では「エイリアンフィッシュ」と呼ばれることも。

 米国カリフォルニア州スクリップス海洋研究所のワチャラポン・ホンジャムラシルプ氏は、サーカスティックフリンジヘッドが争うときは鋭い歯も使うという。米国ワシントン大学のアダム・サマーズ氏が作成した頭の骨の3Dモデルを見ると、確かに歯はとても鋭い。

 名前に含まれる「フリンジヘッド」というのは、頭に細いアンテナのような突起がある様子にちなむ。ホンジャムラシルプ氏によれば、突起は他の魚が放つ化学物質や水の動きを検知するためのものではないかと話している。

 また、「サーカスティック」は、「皮肉な」とか「辛辣な」という意味だ。バージェス氏によれば、外見や獰猛さがそう呼ばれる原因だとしつつも、「この俗称は、攻撃的な行動というよりは、独特の表情からつけられたものかもしれません」とのことだ。

コモリガエル

母親が背中で子育てをする珍しい習性をもつコモリガエル。セントルイス動物園で撮影。(Photograph by Joel Sartore, National Geographic Photo Ark)
母親が背中で子育てをする珍しい習性をもつコモリガエル。セントルイス動物園で撮影。(Photograph by Joel Sartore, National Geographic Photo Ark)
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 南米に生息するコモリガエルは、メスが背中で子育てをする。(参考記事:「【動画】カエルの交尾に「7番目の体位」発見」

 米国ロサンゼルス郡自然史博物館で爬虫両生類学の学芸員を務めるグレッグ・ポーリー氏によれば、コモリガエル(Pipa pipa)の卵はメスの背中に埋め込まれ、ハチの巣のような穴があいた背中で孵化する(トライポフォビア、すなわち細かい穴の集合が苦手な方はご注意を)。(参考記事:【閲覧注意】「タガメ、動物界のベストファーザー」

 ポーリー氏は、外見とは裏腹にコモリガエルは「子育てをするカエルの非常に貴重な一例です」と話す。母親は背中で子供を運び、捕食者や寄生虫から守っている。(参考記事:「両親で子育て、インドの新種カエル」

【閲覧注意】母親の背中から生まれるカエルの子供 皮膚の中に子供がいる。コモリガエルの母親の背中の穴から、たくさんの子カエルが生まれる。(説明は英語です)

ハイイロタチヨタカ

ペルーの木の枝に留まるハイイロタチヨタカ。その悲しげな鳴き声は、「Poor me, all alone(ひとりぼっちのかわいそうな私)」と言っているようにも聞こえる。(Photograph by All Canada Photos, Alamy)
ペルーの木の枝に留まるハイイロタチヨタカ。その悲しげな鳴き声は、「Poor me, all alone(ひとりぼっちのかわいそうな私)」と言っているようにも聞こえる。(Photograph by All Canada Photos, Alamy)
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 南米原産で茶色い羽を持つこの夜行性の鳥は、木に化ける名人だ。

 ハイイロタチヨタカ(Nyctibius griseus)のまぶたにはスリットがあるため、巨大な黄色い目を開けなくてもまわりを見ている。

 何よりも変わっているのは、一度聞いたら忘れられない鳴き声だ。まるで「Poor me, all alone(ひとりぼっちのかわいそうな私)」と言っているよう。夜の森でこの鳴き声を聞けば、彼らと同じくらい目を見開くことになるかもしれない。

タイガーモス

タイガーモス(ヒトリガの仲間)。派手な色も味の悪さを宣伝するためだ。(Photograph by Pavel Kirillov, Flickr)
タイガーモス(ヒトリガの仲間)。派手な色も味の悪さを宣伝するためだ。(Photograph by Pavel Kirillov, Flickr)
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 英語で「タイガーモス(トラガ)」と呼ばれる南米原産のヒトリガの一種(Idalus herois)は、有名なファストフード店のピエロを思わせる外見だ。しかし、そんな姿をしているのは、誰かの幸せな食卓に上がらないようにするためだ。

 このガは、獲物を探すコウモリのエコーロケーション(反響定位)を妨害するクリック音を出せる。米国ノースカロライナ州、ウェイクフォレスト大学の生物学者、ビル・コナー氏からの電子メールには、クリック音には食べてもまずいことを知らせる効果もあるのではないかと書かれていた。(参考記事:「コウモリ、ライバルのソナーを音で妨害」

 敵を妨害し、かつ味の悪さを宣伝するのはまさに一石二鳥の防衛策。

 近ごろ、ハロウィンになるとイカれたピエロが米国中に出没していることを考えれば、私たちを微笑ませてくれるピエロと出会えるのはすばらしいことではないだろうか。(参考記事:「クリスマスの悪魔、クランプスの起源」

文=Liz Langley/訳=鈴木和博