太陽系含む銀河系の「腕」、4倍も大きかった

銀河系の3次元構造で重要な発見、精緻な3D地図の製作で一歩前進

2016.10.05
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地球は銀河系の中に含まれるため、我々はその一部しか見ることができない(この写真の天の川は1本の腕)。そのため天文学者は、天体間の距離を測るなど、別の方法を使って研究を進めている。(PHOTOGRAPH BY STEPHEN ALVAREZ, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 銀河系のうち、太陽系を含む「腕」の部分が従来考えられていたより4倍も大きかったことが明らかになった。

 オンライン科学誌「Science Advances」に9月28日付けで発表された論文によると、私たちの周りの星、ガス、塵が集まる領域は2万光年の長さを持つ。ローカル腕やオリオンスパー(弧)、またはオリオン・はくちょう腕などと呼ばれる部分だ。

 つまり銀河系は、かつて科学者が考えていたよりも対称性が少し高く、規則正しい形をしていると、論文の共著者の1人で米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのマーク・J・リード氏は言う。銀河の構造に詳しくなったところで、重力や私たちに働くその他の力への理解までが変わるわけでないが、今後、銀河系の大規模な特徴をよく知る助けにはなるだろうとリード氏は記している。(参考記事:「超精細な天の川画像、欧州の天文台が発表」

 ローカル腕はそれでも、銀河系の主要な4つの腕と比べるとかなり短い。4つの腕は約8万光年にわたり中心から渦状に伸びている。銀河系の直径はおよそ10万光年とよく言われるが、リード氏によると、最近の証拠を考慮すれば、星の密度が急激に減少する端の間の直径は7万光年程度だろうという。

「ローカル腕の距離を実際に測定してみて驚きました。近隣の腕にあると思っていた物質の多くが、実はローカル腕の一部だったのです」

銀河系は棒渦巻銀河と考えられており、「Arm」が「腕」の部分。中央やや下の「Sun」が太陽の位置で、太陽系を含む領域は「Orion Spur(オリオン弧)」となっているが、今回の論文でより腕に近い特徴を持つことが明らかになった。(イメージ:NASA/JPL-Caltech/ESO/R. Hurt)
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 論文では、ローカル腕のピッチ角(銀河の円盤面に対する腕の角度)と星形成速度も、他の大きな腕に近いことも報告された(たて・ケンタウルス腕といて・りゅうこつ腕が2大腕である)。小さな弧の場合は、主要な腕を含めた円盤面と交差する方向に伸びる傾向がある。つまり、私たちの太陽系が含まれるローカル腕は、サイズこそ比較的小さいものの、弧より本当の腕に近い。(参考記事:「天の川見えない人口、欧州60%、北米80%」

Lonely Speckが撮影した壮観な銀河系の動画。(説明は英語です)

 銀河系には数十億(から数千億)の星のほか、たくさんのガスや塵が含まれる。私たちの銀河は(薄さわずか1000光年の)平らな円盤形をしており、全体的に見ると多くの銀河に比較的よく見られる渦状だ。

 太陽系は、銀河系の中心から縁までのおよそ4分の3のところに位置しているとリード氏。太陽は約2億5000万年かけて銀河を1周する。

 ローカル腕の長さを測るため、5カ国の科学者からなる研究チームは、太平洋のハワイからカリブ海のバージン諸島まで、10カ所に広がる電波望遠鏡群「超長基線アレイ(VLBA)」で電波を観測した。これらの望遠鏡の調整はニューメキシコ州の基地から行った。(参考記事:「1300個、18倍の銀河を一度に発見、新電波望遠鏡」

 同望遠鏡群は、銀河系の精密な3D地図をつくるという野心的なプロジェクトで使用するため、2010年に完成したものだ。(参考記事:「銀河系を含む新超銀河団「ラニアケア」」

「銀河系の中にいる私たちは、その全容を見ることはかないません。人々が地球を外から眺めたいと思っていた500年前と同じような状況です。そこでこのプロジェクトでは、さまざまな地域の間の距離を測定することで、銀河系の性質をより深く理解することを目指しています」とリード氏は述べている。データは銀河系の質量の見直しにも役立つだろう。

 ブラジル、ポルトアルグレにあるリオグランデドスール連邦大学のデニウソ・カマルゴ氏は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答え、新たな論文は「私たちの銀河へのより深い理解に貢献するでしょう」と述べた。カマルゴ氏はこの論文には関わっていない。(参考記事:「マゼラン雲と銀河のダンス」

 5月には別の科学者らが、銀河系が予想よりもスリムで、わずか太陽の7000億倍の質量に過ぎないことを発表している。(参考記事:「銀河系の質量は太陽7000億個分、暗黒物質が約9割」

文=Brian Clark Howard/訳=堀込泰三

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