光速に近い電子のビームを白色矮星が相棒の赤色矮星に向けて放ち、まるでむちで攻撃しているかのような様子が明らかになった連星「さそり座AR星」のイメージ映像。(M. Garlick/University of Warwick/ESO)

 ヨーロッパ南天天文台(ESO)の超大型望遠鏡VLTなどを使って、天文学者らがこれまで観測されたことのない連星の奇妙な姿を明らかにした。「さそり座AR星」と呼ばれるこの連星では、まるでむちで攻撃するかのように、高速で回転している白色矮星が相棒の赤色矮星に向けて光速に近い電子を放つ。おかげで、連星全体が1.97分ごとに紫外線から電波までの光パルスを放射することが判明。この論文は7月27日付けの科学誌「ネイチャー」で発表された。(参考記事:「超大光度X線、発生源はパルサーだった」

 最初にこの奇妙な現象に気づいたのはドイツ、ベルギー、英国のアマチュア天文家のグループだった。2015年5月に発見した後、天文学者らがさまざまな望遠鏡で観察を行ったところ、詳細な様子が明らかになった。(参考記事:「惑星の破片をむさぼる「ゾンビ星」を観測」

 さそり座AR星はさそり座の位置にあり、地球から380光年離れている。今回の研究チームのリーダーで、英ウォーリック大学の天文学研究グループに所属するトム・マーシュ氏は「さそり座AR星は40年以上前に発見されていましたが、2015年に観測を始める前は、誰もこんな星であることに気づきませんでした。観測を始めると、何か特殊なものを見ていることがすぐにわかりました」という。しかし、電子がどこから放出されているのかはまだわかっていない。(参考記事:「重力波を生んだ太古のブラックホール衝突を解明」

 同じくウォーリック大学のボリス・ゲンシケ氏は「中性子星のパルサーはほぼ50年前から知られていました。同じようにパルスを発生する白色矮星を予測した理論はありましたが、こんな連星系を実際に発見してとても興奮しています」と言う。「そして、アマチュア天文家と学者がともに手をとった素晴らしい例です」と付け加えた。(参考記事:「不当な評価を受けてきた女性科学者6人」