インドの動物園で、足を失ったカメに義足代わりの車輪を取り付けたところ、自由に動くことができるようになり、入場客の心を和ませている。(参考記事:「脳とつながるハイテク義手」)
このカメは2歳のインドホシガメ(学名:Geochelone elegans)のメス。インドのチェンナイにあるアリグナー・アンナ動物公園で飼育されている。
マングースに襲われて右の前足を失い、歩くこともエサにたどり着くこともできなかったところ、これを見た飼育員が簡単な手術を施し、車輪を取り付けてみた。以来、動物園にいる他の14匹の健常なカメよりも速く動けるようになったほどだという。
米国のフロリダ自然史博物館で爬虫両生類を担当するケネス・クリスコ氏は、「とても良いアイデア。車輪のおかげで、カメの命が救われたのではないかと思いますよ。私たちも同じように負傷したカメを見ることが多いので、この方法を覚えておきます」と語る。
クリスコ氏によると、カメはイヌやネコなどに襲われて足を怪我することが多い。チェンナイのカメは、すぐそばの森からやってきたマングースに襲われたという。
インドホシガメは、インドやスリランカの乾燥地帯や低木林に生息している。甲羅に星のような模様があることから、ちょっと変わったペットとして人気がある。(参考記事:「動物の奇形:3つ目のカニ、双頭のカメ」)
体長は25センチまで成長することもあり、メスの方がオスよりも体が大きい。オスは、交尾しやすいように腹甲がくぼんでいる。主に草食で、草や果物、多肉植物を好むが、たまに死んだ動物の肉を食べることもある。
アリグナー・アンナ動物公園は南アジアで最大級の動物園で、総面積は602ヘクタール。インドで最初の動物園として、1855年に創立された。元々は市街地にあったが、1970年代に郊外の森林保護区へ移転し、1985年に新しい場所で開園した。(参考記事:「183歳のカメのジョナサン元気に、最高齢の動物」)