世界で最も危険な毒ヘビの一種と言われる2匹のブラックマンバが、まるでひもを編むように互いに絡み合って戦う様子が、南アフリカ共和国で撮影された。
ヨハネスブルクに住むクリスティ・ボウワーズさんは、同国北西州にあるピラネスバーグ国立公園でサファリツアー中に偶然その現場に遭遇した。
「2匹のオスが、お互い相手を何とか屈服させようと戦う典型的なヘビの行動をはっきりととらえています」と、米フロリダ州自然史博物館爬虫両生類学のコレクションマネージャー、ケネス・クリスコ氏はコメントした。
同氏によると、ヘビ同士が戦う時、相手を噛むことはあっても、毒を出すことはほとんどなく、また相手を殺そうというつもりもない。どちらか一方が降参するまでもみ合い、勝った方が交尾のために待ち構えているメスへ近づくことができる。
メスのヘビは通常、1シーズンに1匹のオスとしか交尾をしない。そして、オスの精子を体内に数カ月、種によっては数年にわたって保存しておくことができる。オスは複数のメスと交尾したがるが、それは戦いでいくつの白星を獲得できるかにかかっている。(参考記事:「【動画】恐怖のブラックマンバ」)
「交尾ではありません」
ビデオのように2匹のヘビが絡み合って戦う行動は、プレイティング(『編む』という意味)コンバットと呼ばれる。クリスコ氏はフロリダ州のキングヘビを使ってこの行動を研究し、初めて報告した科学者である。野生では珍しく、現地を調査していてもめったに見られるものではないという。ボウワーズさんは幸運だったわけだ。
「このような生物学的場面に遭遇できたのは、本当に幸運なことです」と、クリスコ氏は言う。そして「交尾をしているわけではありません。ヘビが交尾する様子は、全く異なります」と付け加えた。
ブラックマンバはアフリカ大陸南部と東部に生息し、体長4メートル以上にも成長することがある。敏捷で力強く、気性が荒いことで有名だが、人間を避けようとする傾向にある。人が噛まれた場合、できるだけ早く血清を打たないと45分ほどで倒れ、ほぼ確実に死に至る。(参考記事:「18種の毒ヘビに有効、画期的な血清製造法を開発」)
死亡例は多く、しばしば世界で最も危険なヘビとも言われている。また、アフリカに生息する毒ヘビの中では最長である。(参考記事:椎名誠「毒話」)
最高時速20キロで滑るように移動し、肌の色は薄緑色から灰色をしていることが多い。「ブラック」という名は、危険を感じた時に大きく開けた口の中が黒いことに由来する。(参考記事:「【動画】「ニセのクモ」で鳥をだまして食べるヘビ」)