カメレオンと言えば、体の色を変化させて周囲の景色へとけ込むことでよく知られているが、彼らの魅力はそれだけではない。望遠鏡のような眼をもち、繰り出す舌の速さは地上最速ともいわれている。また、国際自然保護連合(IUCN)によると、少なくとも半数の種は絶滅のおそれがあるか、それに準じた段階にあるという。(参考記事:「カメレオンの舌、重力の264倍で加速と判明」)
ナショナル ジオグラフィック誌では、2015年9月号で、クリスチャン・ツィーグラー氏の写真とともにカメレオンの世界を探る特集記事を掲載した。(参考記事:2015年9月号「色でおしゃべり カメレオン」)
今回は、マダガスカルに生息するカメレオンたちの驚くべき習性をとらえた写真の数々を紹介する。マダガスカルには、世界のカメレオンのうち半数以上の種が生息している。これらの写真で、ツィーグラー氏は第59回世界報道写真賞自然の部第3位を受賞した。(参考記事:「なぜか生まれたことに気づかない赤ちゃんカメレオン」)
現行犯
カメレオンの中では世界最長と言われるウスタレカメレオンのメスが、バッタを捕らえる瞬間。
熱い求愛
鮮やかな模様をしたパンサーカメレオンのオスが、地味な色のメスに求愛中。このオスのような青緑色は大変珍しく、マダガスカル島アンバンジャに固有のタイプだ。
大きな存在
周囲を警戒しながら木の葉の間を移動するパーソンカメレオン。マダガスカル東部に生息、三角形の頭を持ち、カメレオンの中では最大級と言われている。
ズームイン
生息地で遭遇したパンサーカメレオンのオス。カメレオンは独特の望遠鏡のような目をもち、獲物を拡大して見ることができる。
近寄ってみる
カメレオンの肌はきわめて複雑。肌の色の変化は、感情を表していることがある。
木登り名人
パーソンカメレオンのメスの尾。このくるりと丸まった尾を枝に巻き付けながら木を登る。
危険な火
森林の焼け跡にいたタスキカメレオン(Furcifer balteatus)の子ども。逃げ足の遅いカメレオンにとって、野焼きは命取りとなる。
かくれんぼ
マダガスカルのアンカラフォンシッカ国立公園にすむデカリーヒメカメレオン(Brookesia decaryi)のオスとメス。周囲の枯葉とほとんど見分けがつかない。この外見を利用して、天敵から身を隠す。
よくよく見ないと
このヒメカメレオンの一種(Brookesia tuberculata)は、爬虫類の中でも最も小さい種のひとつ。
完璧なカムフラージュ
周囲の環境に溶け込むタスキカメレオン。違法取引と生息地の消滅により、絶滅の危機に瀕している。