中国でレアなオオサンショウウオ、200歳は言い過ぎ

野生で絶滅しかけている地球最大の両生類が見つかった

2015.12.21
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 中国の川の中を歩いているときに、足の裏に何か柔らかいものを感じたら、気をつけたほうがいい。あなたが踏んでいるのは、地球最大の両生類チュウゴクオオサンショウウオ(Andrias davidianus)かもしれないからだ。

 これはジョークなどではなく、先日中国メディアが報じた内容そのものである。重慶市郊外の洞窟で、ある漁師が、チュウゴクオオサンショウウオを見つけたのだ。

 中国の国営紙、人民日報オンラインによると、この優しき巨大生物の体重は53kg、全長は1.4m。漁師はこのオオサンショウウオが病気だと思い、当局に連絡。捕獲され、「保護とさらなる研究」のために施設に送られた。

 その後、一部のニュースで、匿名の専門家がこのオオサンショウウオの年齢を200歳以上と推定していると報じられた。しかし、この推定は、科学者が持つ知識とは一致しない。米カリフォルニア州立大学バークレー校で爬虫両生類を研究するセオドア・パペンファス氏は、「オオサンショウウオは、ゆっくりと成長します。しかし、私の聞いた範囲で最年長の個体でも50歳です。しかも、それは飼育されていました。200歳はかなりの誇張だと思います」と述べた。

【動画】2014年12月17日、チュウゴクオオサンショウウオの「ウー教授」が英ロンドン動物園へ移された。

珍しい発見

 江戸時代から生きてきたわけではないにしても、これはきわめて珍しい発見だ。

 チュウゴクオオサンショウウオは、ここ数十年で個体数が80%以上減少し、近年では野生でほとんど見つかることがなくなった。国際自然保護連合(IUCN)によって近絶滅種(critically endangered)に指定されている。(参考記事:「チュウゴクオオサンショウウオの保護に日本の技術を活かす」

 この種には、やはり巨大な近縁の生物が2種いる。日本のオオサンショウウオと北米の東部にすむアメリカオオサンショウウオだ。IUCNは、これら2種についても近危急種に指定している。(参考記事:本誌2015年6月号「素顔のオオサンショウウオ」

PHOTOGRAPH BY BEN TAPLEY
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「チュウゴクオオサンショウウオが直面している大きな問題の1つに、彼らが捕まると同時に養殖場に連れて行かれるか、人に食べられていることがあります」(参考記事:「中国でオオサンショウウオは「高級魚」」

 食材としての需要に対応するため、数千匹単位でこのオオサンショウウオの養殖をする者もいる。養殖は野生のオオサンショウウオを救う可能性があるものの、今年発表された論文によると、病気の潜伏および蔓延によって野生の個体への脅威となる可能性があると警告されている。

 米ジョージア大学の爬虫両生類学者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーであるトッド・ピアソン氏によると、野生のチュウゴクオオサンショウウオの発見は珍しいものの、これが初めてではない。「今でも野生のチュウゴクオオサンショウウオがいるのは間違いありません。今回同様、その多くは洞窟からやってきたもののようです」

 パペンファス氏は言う。あまりの乱獲に、洞窟が最後の隠れ家になっているのかもしれないと。(参考記事:「2.8億年前のヘンな両生類化石が続々、ブラジル」

文=Jason Bittel/訳=堀込泰三

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