メスが光るツチボタル、明るいほど卵が多いと判明

メスではなく、オスが相手を選ぶ異例なホタルの謎の一端が明らかに

2015.10.26
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交尾相手を求めて発光するツチボタルのメス(PHOTOGRAPH BY ROBERT CANIS, ALAMY)
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 ツチボタルのメスが光る明るさは、繁殖能力を示すオスへのサインであることがわかった。

 10月20日付の専門誌「バイオロジー・レターズ」に発表された研究によると、発光の明るさは今後産むことができる卵の数に対応するという。米カリフォルニア大学サンタクルーズ校の生態学者ブルース・リヨン氏は、オスを誘うためにメスが装飾を持つことは比較的珍しい例であると述べている。(参考記事:「光る生き物の世界」

 他の種では、明るい色の羽や、大きな角など、派手な装飾を持つのはオスであることが多い。それらの装飾は健康状態が良好なこと、ひいては子孫に伝える優れた遺伝子を持つことを意味し、メスが交尾の相手を選ぶ材料となる。

 メスの装飾が珍しい理由は、メスのほうが繁殖に多くの時間とエネルギーを要すため、相手を選ぶのがメスの側になるせいだと考えられている。一方で、例外も複数報告されている。特に、ハゼの一種 Gobiusculus flavescens のように、オスが子育ての大半を担う場合だ。

 幼虫期のツチボタルは、身体を光らせることで、捕食者に対して自分が食べられないことを警告している。幼虫のオスとメスに際立った違いはなく、どちらも光る。しかし、成虫になると、オスは光る能力を失う。メスの成虫は、エネルギーと酸素を黄緑の光に変える化学反応によって、下腹部の発光器から光を発する(ツチボタルの英語名は「glowworm(光る蠕虫)」だが、実際は蠕虫ではなく、飛べない甲虫の一種である)。(参考記事:「ホタルの発光原理に新説、余剰電子が関与」

 メスの発光が繁殖力を象徴しているというアイデアを確かめるために、同論文の著者の一人であるフィンランド、オウル大学のアリヤ・カイタラ氏らは、フィンランド湾にあるヌルミヤルビィ動物学研究ステーションおよびヘルシンキの北にあるヌルミヤルヴィの町で光るメスを捕獲し、700km北にあるオウル大学の研究室に持ち帰った。そこで、大きなメスほど発光器が大きいこと、最も明るいメスは最も暗いメスの4倍の卵を産むことを発見した。

 カイタラ氏は言う。「大きさと産卵数に個体差があることは知っていましたが、こんなに差が大きいとは思ってもみませんでした。本当に驚きです」

 発光が明るいほどオスが惹きつけられるのかどうかを確認するため、研究チームはフィールドに戻り、小さなLEDの光を用いて実験を行った。1.5リットルのプラスチックボトルを使って罠を作り、その半数に明るい光を、残りの半数に暗い光を置き、それぞれに何匹のオスが入るかをカウントした。その結果、明るい罠にかかったオスのほうが有意に多いことがわかった。

 しかし、カナダ、クイーンズ大学の生態学者ボブ・モンゴメリー氏は、光の明るさが本当に指標となっているかどうかはわからないと述べる。大きいメスほど産卵数が多いことは知られている。また、大きいメスほど発光器も大きい。つまり、オスは光を見て、メスの大きさを判断していると考えることもできるからだ。

「単位面積当たりの明るさを測定しないかぎり、確信はできません。そうすることで、明るさなのか大きさなのかがはっきりするでしょう」

 カイタラ氏にとって、ツチボタルの謎は依然として多く残されている。ツチボタルの成虫は何も食べられない。つまりメスは、夜間の発光に必要なエネルギー源となる食べ物を得られない。エネルギーは別のどこかから得ていて、カイタラ氏らは、それが産卵数に影響しているのではないかと考えている。また、メスが光るメリットがどこにあるのかもまだわかっていない。(参考記事:「【動画】蛍光に光るウミガメを発見、世界初」

 カイタラ氏はじめ研究者らは、暗闇を照らす光を求めている。

【フォトギャラリー】光る生き物の世界

文=Carrie Arnold/訳=堀込泰三

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