インドネシア ウジュン・クロン国立公園で、絶滅危惧種のジャワサイの親子の姿が撮影された。
© Ujung Kulon National Park

 大きな耳の向きを変えながら、やぶの中から幼いサイが走り出す。そのすぐ後を、母親が注意深く見守りながら追いかける。

 インドネシアのウジュン・クロン国立公園に3頭いる子どものうちの1頭が自動撮影のカメラでとらえられた。これは単なる赤ちゃんサイではない。絶滅危惧IA類、つまり、野生絶滅の一歩手前とされるジャワサイの最後のよりどころだ。(参考記事:「突然の出現、希少種ジャワサイ」

 ジャワサイは現在、地球上に60頭しか残されていない。少ないとはいえ、ゆっくりと増えており、この50年間で倍増した。

 密猟や生息地の破壊により、多数のジャワサイが死亡した。残された個体は現在、同国立公園で群れを形成している。

 しかし、新たな子どもの映像は希望の源であると、カメラトラップを管理しているWWFで種の保全プログラムのディレクターを務めるバーニー・ロング氏は言う。

 なぜなら、「これは、ジャワサイが野生で繁殖していることの証拠」だから。飼育されている個体がいない現状では、これが特に重要な意味を持つ。

「覚えておくべき大事なことは、サイが回復しつつあるということ。この映像は、正しい保全措置をとれば、もっと子どもが増えることを示しています」

安心するのは早い

 それでもまだ、この種の運命は宙ぶらりんだ。

 まず、ウジュン・クロンは、活火山であるアナ・ククラカタウ山に危険なほどに近いため、大規模噴火があれば、サイの集団が一網打尽にやられてしまう可能性がある。

 次に、同国立公園がサポートできるサイの個体数は、現在の60頭で限界に近づきつつある。

 ロング氏によると、メスのサイは3年から5年周期で子どもを産む。しかし、サイが密集していると、その頻度が落ちるという。

 個体数がゆっくり増えている現在、出生率を落とさないために、WWFはこの希少動物の新たな家を探している。

 WWFはさらに、自然保護官の雇用や、生き残った小さなグループを密猟から守るよう、地元の人々への啓発活動に取り組んでいる。ベトナムでは2010年に、同国内に生存していた最後のジャワサイが、密猟で命を落とした。

「この種には、もっと注目する必要があります」とロング氏は言う。「回復は可能であり、そのための方法もわかっています。必要なのは、世界からもっと注目を集めることだけなのです」(参考記事:特集「サイの悲鳴」

次ページ:【フォトギャラリー】絶滅の危機に瀕するサイの写真14点