空飛ぶスケボー、空飛ぶバイクの時代がやってくる?

トヨタが「ホバーボード」を発表、米軍は空飛ぶバイクを開発へ

2015.06.30
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レクサスが広告キャンペーン用に製作したホバーボード。液体窒素で冷却した超伝導体と磁石を利用して浮いている。(PHOTOGRAPH COURTESY LEXUS)
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 街を乗り物で飛び回るハリウッド映画の世界が、いよいよ現実に?
「世界初の空飛ぶバイク」に米陸軍が興味を示しており、トヨタ自動車の高級車ブランドであるレクサスは「空飛ぶスケートボード(ホバーボード)」を作り上げた。

 とはいえ、空中に浮き上がる乗り物が発売されるのはまだ少し先になりそうだ。安全性のテストが必要だし、規制についても精査しなければならない。なかには実用化というより、注目を集めるために開発されたものもある。例えばレクサスのホバーボードは、トヨタが開発中だという「空飛ぶクルマ」の下敷きとなるものではないと言う。

 先週同社のウェブサイトに登場したホバーボードについて、レクサスのスポークスマンであるモエ・デュランド氏は「実際に浮いているのですが、発売する予定はありません」と説明する。ホバーボードは、液体窒素で冷却した超伝導体と磁石を組み合わせて乗り手を地面から浮かせるという。今のところ、磁石が埋め込まれたコンクリートの上でのみ使用できるとのこと。

 トヨタのホバーボードは、ブランドの革新性をうたう「Amazing in Motion」という広告キャンペーン用に製作されたにすぎない。一方でデュランド氏は、最終的に空飛ぶクルマにつながる可能性も否定しない。「実験的な試み?そうかもしれません」

空飛ぶ乗り物の開発相次ぐ

 近年、多くの企業がホバークラフト式の乗り物を商品化するべく競い合っている。1989年公開の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で主人公のマーティ・マクフライが乗った空飛ぶスケボーのようなものは見当たらないが、各社は磁気浮上をさまざまなものに活用しようとしている。その技術は地上からは到達しづらい場所への軍隊の輸送や、敏腕起業家イーロン・マスク氏が提案する超音速列車「ハイパーループ」のほか、建物の免震にも応用できるという。(参考記事:「夢の超音速列車「ハイパーループ」、成否の鍵は?

 オーストラリアのシドニー郊外では、ヘリコプターのような乗り物が作られた。ウェブサイトでは「オートバイのシンプルさとヘリコプターの自由さをあわせ持つ、世界初の空飛ぶバイク」と紹介されている。製作したのはその後英国のマロイ・エアロノーティクス社の社長となったクリス・マロイ氏だ。

 マロイ氏は現在、米軍向けにホバーバイクを使った捜索・救助ミッション、貨物の配達、災害救助、偵察などが可能であるか検証している。マロイ氏のホバーバイクには有人型と無人型があり、ヘリコプターと同じことができるという。しかもヘリより低コストで、狭い場所にも行け、パイロットもいらない。

プロペラが2つあるホバーバイクの初代試作品。現在のホバーバイクは、プロペラが4つある「クアッドコプター」だ。(PHOTOGRAPH COURTESY MALLOY AERONAUTICS)
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 プロジェクトの詳細についてマロイ氏は多くを語らなかったが、米国メリーランド州の副知事ボイド・ラザフォード氏は、マロイ・エアロノーティクス社と米国メリーランド州のサービス・エンジニアリング社が、米軍の新たな戦術偵察機としてホバーバイクを開発することを今月初めに開催されたパリ航空ショーで発表した。

 マロイ氏は軍事用ではなく、商業用にホバーバイクを開発した。「注文したいという人が大勢いますが、まだ受け付けていません。急いで市場に出したくはないのです」と彼は言う。技術的にはすぐにでも生産を始められるが、厳しいテストを行って安全性を証明する必要があるそうだ。それには少なくとも3年から5年はかかるし、同社が市場を独占しているわけでもない。似たような試作機を製作したニュージーランドの企業など、競合他社も存在する。

 もっとシンプルな乗り物も開発されている。米カリフォルニア州ではアークス・パックス社のグレッグ・ヘンダーソン氏が「ヘンド(Hendo)」というホバーボードを開発した。同じ重さのものを、ヘリコプターの4分の1のエネルギーで浮かせられるという。10月にはもっと小さく軽量で、さらにパワフルな新バージョンを発表するそうだ。

【フォトギャラリー】「鳥になりたい!」 空へ挑む人々

文=Wendy Koch/訳=三枝小夜子

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