たえず大量の乾電池を購入することと、充電式電池一式に投資する違いについて、考えてみてほしい。
米スペースX社が打ち上げた地球低軌道への打ち上げ能力をもつファルコン9が日本時間の22日、打ちあがったのちに地球に帰還し、低コストで探査機や人を宇宙に送り込める再利用ロケットの時代に先鞭をつけた。(参考記事:「民間宇宙船ドラゴン、打ち上げに成功」)
「おかえり、ベイビー!」スペースX社CEOのイーロン・マスク氏は、着陸後、こうツイートした。
今回の着陸は、「吹き荒れる風の中で、鉛筆を発射し、エンパイアステートビルを越え、ぐるっと反転して戻ってこさせ、地面に置いた靴箱の上に着陸させる」ような快挙です。ファルコン9が米国フロリダ州ケープカナベラルの発射地点から約10キロ離れた場所に着陸した直後のテレビ中継で、ゲストのティム・アーバン氏はそう評した。
スペースX社は、これまでに少なくとも2回発射実験を行い、今回ようやく、高さが23階建てのビルほどもあるファルコン9ロケットの一部を着陸地点で回収することに成功した。
今回の成功で、少しだが、これまでより手の届く価格で宇宙旅行ができる時代が来るかもしれない。一般に、莫大な費用のかかるロケットは、使い捨て、もしくは、大気圏再突入時に燃え尽きてしまう。言い換えれば、打ち上げのたびに、まったく同じ部品でもいちから作らなければならない。ロケットが再利用できれば、企業側は打ち上げの費用を大幅に削減できる。(参考記事:「スペースX社で宇宙船開発に携った日本人」)
米国東部標準時12月21日20時29分、ファルコン9は、米国ニュージャージー州に拠点を置く衛星通信企業、オーブコム社の小型通信衛星11機を搭載し、発射台から打ち上げられた。地球上空約200キロまで急上昇した後、重量物を運び推進するロケット1段目がくるりと向きを変え、帰還を目指した。着陸地点に近づくと、15階建てのビルに相当するロケットがエンジンを点火し、着陸用の脚を開き、水蒸気交じりのオレンジ色の炎を輝かせながら着陸。地球を飛び立ってから、わずか10分後のことだった。
前回、国際宇宙ステーションに向けて打ち上げたファルコン9を発射後数分で爆発させてしまったスペースX社にとって、着陸の成功はのどから手が出るほど待ち望んでいたことだった。これまでに2回、ロケットを地球に帰還させようとした民間の宇宙開発企業の試みも失敗に終わっている――ファルコン9の1段目も洋上の艀(はしけ)への着陸を試みたが、激突し、倒れていた。(参考記事:「ISSの物資の残り2カ月分、スペースXの爆発事故で」)
もっとも、今回の成功は華々しく取りあげられているが、実は無人ロケットが地球に垂直着陸するのは今回が初めてではない。米アマゾン・ドット・コムのCEOであるジェフ・ベゾス氏によれば、11月に同氏が所有する宇宙開発企業のブルー・オリジン社が、米国テキサス州でもっと小型のロケット「ニュー・シェパード」の垂直着陸を成功させている。ベゾス氏は、先に成功したのはこちらだとマスク氏に釘を刺そうとしたのだろう。スペースX社の着陸成功に対して、やや冷やかにツイートしている。
「スペースX社、ファルコンの準軌道ブースター着陸、おめでとう。仲間入りを歓迎するよ!」