謎多きヘビの新種3種を同時に発見、南米

めったに姿を見せない「フィッシング・スネーク」たち、アンデス雲霧林で

2015.12.25
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「フィッシング・スネーク」と呼ばれるSynophis 属の新種Synophis bogerti。エクアドルとペルーにまたがるアンデス山脈の雲霧林で発見された。(PHOTOGRAPH BY OMAR TORRES-CARVAJAL)
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 アンデス山脈北部、人里離れた熱帯雨林の奥深くで、きわめて希少な新種のヘビが3種発見された。

 そのわずか数週間前には、エクアドル南西部で別の研究チームがやはり新種のヘビを発見したばかりである。これら4種はいずれも「フィッシング・スネーク」と呼ばれる南米固有の Synophis 属の新種であり、黒っぽい背中に明るい色の腹が特徴。人に姿を見せることはほとんどなく、これまでに知られているのも4種のみで、今回の発見で種の数が一気に倍増した。

 フィッシングという名前にもかかわらず、エサの捕り方や普段の様子はほとんど知られていない。(参考記事:「猛毒ヘビ「デスアダー」の新種を発見、豪州」

エクアドルで発見された「ブサイクな」サラマンダーと新種のカエル フィッシング・スネークのすむアンデス山脈は極めて多様な生態系を誇る。エクアドルの森林で最近発見されたその他の動物たちを動画で紹介(説明は英語です)。

「魚を捕るわけでもないのに、なぜフィッシング・スネークと呼ばれるようになったのかは、定かではありません」。エクアドルカトリック大学の生物学者で、3種のヘビを発見した研究チームのリーダー、オマー・トレス・カルバハル氏は言う。この発見は、12月16日付けの科学誌「ZooKeys」誌に発表された。 (参考記事:「レアな繁殖法をもつヒキガエル3種を同時に発見」

 断片的な証拠から、小型のトカゲを捕食し、土の中の巣に身を潜める習性があると考えられる。めったに姿を見せないのはそのせいかもしれない。

新種3種のひとつである Synophis zamora。魚を捕食するわけでもないのに、なぜフィッシング・スネークと呼ばれるようになったかは不明。(PHOTOGRAPH BY OMAR TORRES-CARVAJAL)
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生殖器で種を判別

 トレス・カルバハル氏と研究チームは、未確認のフィッシング・スネークを探すため、布製の「ヘビ袋」と捕獲棒を素手で持ち、アンデスの森林を数週間かき分け、数匹のヘビを捕らえた。

 肝臓と筋肉から抽出したDNAを調べたところ、既知のどのフィッシング・スネークとも一致せず、新種であることが示唆された。さらに確証を得るため、オスの生殖器を詳しく調べた。

 オスのヘビには、2本1対の半陰茎と呼ばれる生殖器が備わっている。普段は体の中に収められているが、交尾の際にはこれが体液を含んで肥大し、体の外へ出てくる。1回の交尾で使える半陰茎は1本だけ。2本あるのは、交尾の直後にもう1度機会が訪れたときなどへの備えである。(参考記事:「男性生殖器に関する5つの研究」

 ヘビの種類によって半陰茎の特徴が異なるため、同じ種かどうか判別できる。

 案の定、新種と思われるヘビの半陰茎を調べてみたところ、全て異なる形状をしており、また既知の4種の Synophis 属とも一致しなかった。そこで、新たに発見されたヘビをそれぞれ、Synophis bogerti 、Synophis zamora 、Synophis insulomontanus と名付けた。

フィッシング・スネークの新種Synophis insulomontanus。フィッシング・スネークの仲間は全て、黒っぽい背中に明るい色の腹を持つ。(PHOTOGRAPH BY GERMÁN CHÁVEZ)
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 ほとんど姿を見せず、そのうち半分は発見されたばかりという Synophis 属の保全状況を評価することは難しい。

 彼らのすみかであるアンデスの雲霧林の生態系は極めて多様だが、農業や石油探査のせいで生息地の消失が進み、最も脅威にさらされている地域でもある。(参考記事:「体長1センチの新種カエル、7種を発見」

さらなる新種発見に期待

 この周辺には他にも、未知の爬虫類が多く生息している可能性があり、今回の発見は氷山の一角かもしれない。

 最近では、ペルーとエクアドルの同じ雲霧林で8種のモリイグアナの新種が発見され、こちらも一挙に種の数が倍増した。トレス・カルバハル氏も、その発見に一部貢献している。(参考記事:「カラフルなモリイグアナの新種3種を南米で発見」

 ここは生物多様性のホットスポットであり、「エクアドルで確認されている454種の爬虫類のうち、43種が21世紀に入ってから見つかっている」ことから考えても、まだ明かされていない秘密が眠っているはずであると、トレス・カルバハル氏は言う。

「私たちの周囲に一体どれくらいの種が存在しているのかを明らかにするだけでも、新しい世代の分類学者が大量に必要です」

文=Michael Greshko/訳=ルーバー荒井ハンナ

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