哺乳類約5000種のおよそ5分の1から4分の1を占めるコウモリ。そんな多種多様なコウモリの魅力な姿をとらえた16枚の写真を厳選してお届けする。
翼を広げて
洞窟を出て狩りに出かけるメキシコオヒキコウモリの群れの1匹をアップで捉えた。3月から10月までの毎晩、米国テキサス州オースティンの中心部にある橋の下から150万匹のメキシコオヒキコウモリが飛び立つ。(参考記事:「夕空の群れ、コウモリの多様性」)
モノクローム
1915年、洞窟の中でフラッシュ撮影された数百匹の小さなコウモリ。洞窟に住むコウモリは多い。
蜜の味
すべてのコウモリが虫を食べたり血を吸ったりするわけではない。蜜や花粉を好んで食べるコウモリもいて、体についた花粉を木から木へ運んでいる。受粉をコウモリだけに頼っている植物もある。(参考記事:「コウモリを誘う花の“声”」)
つぶらな瞳
ヘンドラウイルスの有無を調べられるオーストラリアオオコウモリ。ヘンドラウイルス感染症は稀だが、命にかかわることがある。ヘンドラウイルスはコウモリからウマに感染し、ウマからヒトに感染する。(参考記事:「ヘンドラウイルス 人と動物を襲う感染症」)
ギョウモリ?
漁をするコウモリがいることをご存知だろうか? ウオクイコウモリは反響定位で水面のさざ波を検知し、鉤爪を使って水中の小魚をつかまえる。一晩に30匹もの魚をつかまえるコウモリもいる。(参考記事:「動画:コウモリ VS. ナマズの死闘」)
ねぐらは木の枝
すべてのコウモリが洞窟暮らしを好むわけではない。写真のメガネオオコウモリが好むのは熱帯雨林の高い林冠だ。
テントでキャンプ
熱帯に生息するコウモリの中には、ホンジュラスのシロヘラコウモリのように、植物の葉でテントを作るものもいる。この小さなコウモリは葉脈をかじって葉を垂れ下がらせ、その中に隠れる。(参考記事:「世界で唯一の白いコウモリ」)
集団生活
赤道ギニアのビオコ島の洞窟をねぐらにするカグラコウモリ属の仲間。アフリカで最も一般的な種類のコウモリで、50万匹ものコウモリが1つのコロニーを形成することもある。(参考記事:「新種カグラコウモリ、ベトナムで発見」)
ぴったり寄り添う
葉の下で身を寄せ合う3匹のオオキミミコウモリ。かなりめずらしいコウモリで、ニカラグアからエクアドルの老齢林に生息している。1匹のオスと数匹のメスからなるハーレムを形成していると考えられている。
悪い知らせ
白い鼻症候群で翼がボロボロになったトビイロホオヒゲコウモリ。米国とカナダでは、わずか8年で600万匹以上のコウモリが白い鼻症候群で死んだ。(参考記事:「コウモリを体内から燃やしつくす致死性カビ」)
ずっぽり入る
キューバのアオイ科の植物「ブルーマホー」の蜜を食べようとして花粉まみれになっているフラワーコウモリ。メキシコでは、コウモリはテキーラの材料となるリュウゼツランの受粉を媒介する動物として重要だ。今度マルガリータを飲むときには、コウモリに感謝することをお忘れなく!
みんなでいれば
米テネシー州のハバード洞窟の壁に集まった約18万3000匹のハイイロホオヒゲコウモリ。この洞窟には毎年冬になると50万匹以上のハイイロホオヒゲコウモリが暮らすが、地球上に生息するすべてのハイイロホオヒゲコウモリが米国南東部の8ないし9カ所の洞窟しか使っていないことが知られている。(参考記事:「コウモリを死に追いやるカビ、テネシー州の洞窟にも」)
母の抱擁
オーストラリアのニトミルク(キャサリン渓谷)国立公園で、折りたたんだ翼で子を抱きしめるオオコウモリ。すべての哺乳類と同じく、母コウモリは乳腺が分泌する母乳で子を育てる。
容疑者
ウガンダのマラマガンボ森林にある洞窟をすみかにするエジプトルーセットオオコウモリ。フルーツコウモリはマールブルグ・ウイルスの自然宿主であるため、科学者たちはこのコウモリがウイルスを持っていないか検査を行った。(参考記事:「写真家が「死」に近づいた3週間」)
器用な舌
よく動く長い舌を伸ばしてアナナスの花の蜜を舐めるオオミナミシタナガコウモリ。ハチドリのように花の近くでホバリングしながら舌を差し込み、蜜を舐める。
トリック・オア・トリート!
この写真で見ると吸血鬼のようだが、フルーツコウモリだ。いわゆる吸血コウモリは3種しかいない。それ以外のコウモリは昆虫や果物や花の蜜を食べている。(参考記事:「吸血コウモリはなぜ仲間に血を分け与えるのか」、「恐怖! 吸血コウモリの食事」)