日本は後ろ向き? 各国の温暖化ガス対策を採点

パリで始まるCOP21で、新たな国際枠組みは採択できるのか

2015.11.24
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改善してほしい参加国

ロシア:世界第5位の温室効果ガス排出国だが、2030年までに、1990年の排出量の75%まで温室効果ガスを削減する。素晴らしい目標だが、不明な点がある。ロシアの北方林は炭素を大量に吸収・蓄積するが、目標にどれくらい算入しているのかが明確でない。また、1990年のロシアの排出量はここ数十年で最大だったので、目標を守ったとしても、現在よりも4割以上排出量を増加できるという指摘もある。

カナダ、アルバータ州北部のフォート・マクマレイ近くにあるサンコー・オイルサンド鉱山で、採掘現場を行き交うトラックや重機。アサバスカ地域にあるオイルサンド鉱床が排出する温室効果ガスは、カナダの全排出量の約1割に相当し、ここ10年で8割近く増加した。(Photograph by David Levene, Eyevine/Redux)
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カナダ:ロシア同様、温室効果ガスの削減をうたっているが、森林の炭素吸収・蓄積量を削減量に含めている。もし森林の吸収・蓄積分を除外すると、2030年までに、2005年の排出量よりも8%増加することになる。アルバータ州のオイルサンド鉱床で排出する温室効果ガスは、2005年から8割近く増加。これはカナダの全排出量の約1割に相当する。(参考記事:「カナダ、行き詰るパイプライン建設」

オーストラリア:世界最大級の石炭輸出国。CO2排出に課税する炭素税を廃止する一方で、温室効果ガス排出の削減をうたうが、実効性は不透明である。

日本:2030年時点でも、エネルギーの5割以上を化石燃料に依存し、再生可能エネルギーは4分の1に満たない見込み。温室効果ガスの排出取引を利用することで、短期的には国民1人当たりの排出量が増える。2009年開催のCOP15でのコペンハーゲン合意に基づく削減目標に比べて、事実上、後退している。(参考記事:「日本はどう?再生可能エネルギー普及、世界で加速」

ワイルドカードの参加国

サウジアラビア:湾岸諸国の盟主で、世界最大の産油国。長年、気候変動会議の足を引っ張ろうとしていたが、今回初めて、温室効果ガスの排出削減目標を提出した。世界の上位15カ国に入る排出国であるサウジアラビアが方針転換し、排出削減の必要性を認めた意義は大きい。

サウジアラビアは、シャイバ油田などから産出する化石燃料に経済を大きく依存しているため、国際的な気候変動会議を引っかき回すことが多かった。ところが、2015年11月、初めて温室効果ガスの排出削減目標を提出し、気候変動対策に参加する意思を示した。(Photograph by Reza, National Geographic)
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文=Craig Welch/訳=倉田真木

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