航空会社20社の燃料効率ランキングを発表

乗客1人当たりCO2排出が少ない航空会社1位はノルウェー、最下位は?

2015.11.20
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英ロンドン・ヒースロー空港へ着陸するエアバスA380は、ブリティッシュ・エアウェイズの最新型機種のひとつ。同社は、大西洋路線の燃料効率で最下位にランクされた。(Photograph by British Airways, Splash News/Corbis)
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 ゆったりと広くて快適な航空機のファーストクラスは、お財布には厳しい。だが環境にも厳しいことを示すランキングが発表された。

 ファーストクラスやビジネスクラスは場所を取るので、その分搭乗できる乗客の数が限られる。つまり、フライトによって排出される二酸化炭素の1人当たりの量も大きくなる。11月16日、非営利団体である国際クリーン交通委員会(ICCT)は、航空会社の燃料効率ランキングを発表、2014年にファーストクラスやビジネスクラスの乗客をより多く乗せた航空会社が、燃料効率の面では低い結果にとどまることを明らかにした。ICCTは、独フォルクスワーゲンの排ガス不正問題を明らかにした団体である。(参考記事:「ドイツが挑むエネルギー革命」

 今月末、国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP21)がパリで開催される予定だが、航空会社も議題のひとつに挙げられる。航空機が排出する二酸化炭素の量は2050年には3倍に増加するとみられており、発電所や自動車産業、その他の温室効果ガス排出源と並んで、航空業界には排出量削減へ強い圧力がかかることが予想される。

 大西洋路線を就航する航空会社の燃料効率を初めてまとめた今回の報告書によると、1位にランクインしたノルウェー・エアシャトルは、最下位の英ブリティッシュ・エアウェイズと比較して燃料効率が51%高かった。

 ICCTの海洋及び航空プログラムディレクターで、報告書の共著者ダン・ラザフォード氏は、「最も燃料効率の良い航空機を所有している会社は、運航面でもやはり最も効率的でした。効果は複合的なものと言えます」と語る。

 ICCTは、ここまで格差があるとは予想していなかった。以前、米国の国内線のみを対象とした調査では、最も効率の良かった航空会社と最も悪かった航空会社の差は25%にとどまっていた。今回の大西洋路線に関しては、ノルウェー・エアシャトルが最高、その後大きな差を開けて、第2位が独エアベルリン、3位がアイルランドのエアリンガス。最低だったのはブリティッシュ・エアウェイズ、次にスカンジナビア航空、ルフトハンザと続く。

 燃料効率のスコアを上げる鍵となった主な要素は2つ、座席配置(ファーストおよびビジネスクラスの座席数など)と、航空機の機種である。ノルウェー・エアシャトルの場合、新しくて燃費の良い機体を多く所有しており、ファーストとビジネスクラスの座席数は他社と比べて少ない。一方、ブリティッシュ・エアウェイズの所有する機体は古いものが多く、ファーストおよびビジネスクラスの座席数が他社の2倍だった。

 ファーストおよびビジネスクラスの座席数は全座席数の14%にすぎないが、温室効果ガスの排出量では全体の3分の1を占めている。2013年の調査によると、機種や搭乗人数によっては、ファーストクラスの乗客1人当たりの二酸化炭素排出量がエコノミークラスの乗客と比較して4倍以上になる場合もあるという。

 しかし、どこに座ろうとも、大西洋を横断すれば誰でも二酸化炭素排出量に大きく加担してしまうのは避けられない。直行便で1往復すると、乗客1人につき平均1トンの二酸化炭素を排出する。ICCTによれば、プリウスを運転して35キロの距離を1年間毎日通勤するのに相当する。

 航空業界は、全体としては効率化の方向へ進んでいると説明する。業界団体「エアラインズ・フォー・アメリカ」の広報担当者メラニー・ヒントン氏は、「米国の航空会社は1978年以来、120%以上の燃料効率向上を達成しています」と話す。具体的には、ウィングレット(新型の航空機の主翼端につけられている、上向きにカーブした翼)などの設計特性や、飛行経路最適化ソフトウエア、代替燃料、その他環境にやさしい取り組みなどの要素を挙げている。(参考記事:「空から地球を診断する」

 航空会社にとってももちろん、燃料の節約は経費削減につながる。しかし、今のところ原油価格は比較的低く、今後乗客数は全体的に増加することが予想されるなか、効率化で後れを取っている航空会社に改善を促すには厳しい政策も必要であるとICCTは主張する。

 欧州内のフライトは、既に欧州連合の排出量取引制度「キャップ・アンド・トレード」によって排出量の制限を受けている。米国の環境保護庁も現在、航空業界に対する新たな規制の内容を評価中だ。

 国連の専門機関である国際民間航空機関も、世界的な基準の最終調整に入っており、2016年の採択が待たれる。

 長時間のフライトで、プレミアクラスを選べるのにあえて窮屈なエコノミークラスを選択するのは、筋金入りの環境保護家だけかもしれない。だがラザフォード氏は、座席クラスの問題だけに限らないという。「本当に環境のことを考えるなら、どの航空会社を利用するか、どんな機体を飛ばしているのかを見るのも重要です」(参考記事:「伊勢武史:世界はこれからどうなるだろう」

ICCTによる航空会社の燃料効率ランキング(効率の高い順)

1位 ノルウェー・エアシャトル
2位 エアベルリン
3位 エアリンガス
4位 KLMオランダ航空
5位 エア・カナダ
6位 アエロフロート・ロシア航空
7位 ターキッシュ・エアラインズ
8位 エールフランス
9位 デルタ航空
10位 アイスランド航空
11位 イベリア航空
12位 アメリカン航空
13位 アリタリア航空
14位 ユナイテッド航空
15位 USエアウェイズ
16位 ヴァージン・アトランティック航空
17位 スイスインターナショナルエアラインズ
18位 ルフトハンザドイツ航空
19位 スカンジナビア航空
20位 ブリティッシュ・エアウェイズ

文=Christina Nunez/訳=ルーバー荒井ハンナ

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