シリアなど中東から押し寄せる難民の流入を食い止めようと、セルビアとの国境の警備を強化するハンガリーで、米国人フォトジャーナリストのリアン・ミルトン氏が、現地の様子を写真で伝えている。(参考記事:2015年3月号「戦火を逃れ 国境を越えるシリア難民」)
ミルトン氏は、ハンガリーのレスケという町の付近で取材を行っていた。ここには戦火を逃れ、ドイツやスウェーデンといった難民の一部受け入れを表明している国を目指す人々が続々と集まってきている。9月15日、ハンガリーは国境に沿って建設していた全長175キロのフェンスを完成させ、非常事態宣言を発令、難民申請の手続きを行わなければこれ以上誰も通過させないと発表した。その難民申請も、最初の16件は却下された。
閉鎖された国境を違法に越えようとする者は拘束されると、当局は話している。また、難民申請が却下されれば、入国することはできない。(参考記事:「冬のシリア難民を襲う3重苦」)
ミルトン氏によると、フェンスが設置される前は、入国した難民の多くが近くの「トランジット(通過)ゾーン」へバスで送られていた。「まるで、収容所のような場所です。ここに人々は何日も入れられ、名前が登録され、指紋が取られ、識別番号の書かれたブレスレットが渡されます。食事や医療サービスへのアクセスは限られていて、ジャーナリストは立ち入ることができません」(参考記事:「水死したシリア難民男児が世界を動かす」)