人、指、鳥の巣…奇妙な“そっくりキノコ”たち

およそ10万種のなかから、何かによく似たキノコを紹介

2015.08.05
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英国で発見された新種のキノコ Geastrum britannicum。ノーフォーク州にのみ見られる。

 半年ほど前、学術誌「Persoonia」で、英国に生息する新種のキノコ「Geastrum britannicum」が報告され、その柄と丸い「頭部」はまるで小さな人間のようだと話題になった。

「人間のように見えるのは、カメラのアングルのせいでしょう」。米カリフォルニア州ベイエリア菌学会に所属するデビー・ヴァイス氏は言う。彼女の目には、この新種のキノコはむしろ小さなエイリアンのように見えるそうだ。(参考記事:「スポンジ状のキノコ、2011年の新種」

 今回の記事では、この新種のキノコのように、何かによく似た「そっくりキノコ」を集めてみた。

死人の指

「死人の指」の胞子は枯木や衰弱した木に取り付いて、その内部に消化酵素を注入し、腐った部分をエネルギーとして吸収する。(Photograph by David Chapman, Alamy)
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「このキノコは人というより、人の一部に似ています」

 米ミシガン大学の菌学者ティモシー・ジェイムズ氏がそう説明するのは、通称「死人の指(デッドマンズフィンガー)」と呼ばれるキノコ、マメザヤタケだ。このキノコの胞子は枯木や衰弱した木に取り付いて、その内部に消化酵素を注入し、腐った部分を栄養として吸収する。

 成長した姿は、まるで地面からゾンビの指が突き出しているかのように見える。

 まさにホラームービーのワンシーンだ。

地球の舌

 もし地球が人間に向かって「あっかんべー」をしてきたなら、その舌はちょうどこんな風だろうというような姿をしているのが、通称「地球の舌」と呼ばれるキノコだ。

「地球の舌」には濃い紫色をした種(Geoglossum atropurpureum)とオリーブグリーンの種(Microglossum olivaceum)があり、それぞれ北米とヨーロッパの違うタイプの草原に、10月頃に生えてくる。その不気味な見た目は、ちょうどこの時期にやってくるハロウィーンにいかにもふさわしい。

鳥の巣

「鳥の巣」の中にある「卵」は「小皮子」と呼ばれるもので、その内部には胞子が詰まっている。(Photograph by Christine Whitehead, Alamy)
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「鳥の巣キノコ」は世界中に生息しており、数ある「そっくりキノコ」の中でもとりわけ有名なものだとジェイムズ氏は言う。

 米コーネル大学植物病理学研究室が作成した動画を見れば、このキノコが成長するにつれて徐々に鳥の巣の形状になっていく様子がよくわかる。

 巣の中の「卵」は「小皮子」と呼ばれるもので、中には胞子がいっぱいに詰まっている。米ミネソタ大学のウェブサイトによると、このキノコは非常に小さいため、水滴がほんのひと粒落ちただけでも、小皮子が巣から飛び出す仕組みになっているという。

UFO

 既知のキノコおよそ10万種の中で、暗闇で発光するものはわずか71種しかない。(参考記事:「光る生き物の世界」

 そのうちのひとつがヤコウタケだ。ミシガン大学博士課程の学生トーマス・ジェンキンソン氏によると、このキノコはカサの部分だけが光るため、「夜になると小さなUFOが飛んでいるように見える」という。

 ミクロネシアへの調査旅行でヤコウタケが光る様子を直接観察したジェンキンソン氏は、それはまさしく「夢のような光景」だったと語る。

 キノコがなぜ発光するのか、その理由はまだわかっていないが、学術誌「Current Biology」に掲載されたシロヒカリタケ属のキノコ(Neonothopanus gardneri)についての論文によると、この種のキノコは夜間に生物発光のピークが来る体内時計を持っているという。キノコの光は昆虫を引き寄せ、昆虫はキノコの胞子を拡散させるのに役立つ。

 あるいは発光するキノコはその光で、故郷に帰る乗り物がほしいエイリアンを呼び寄せているのかもしれない。

キノコが光る理由を調べるために、フィールドで人工的に発光させて観察した実験のレポート。

文=Liz Langley/訳=北村京子

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