フランスでは今、3週間にわたる自転車レース「ツール・ド・フランス」の真っ最中だ。今年は1903年の第1回から数えて102回目のレース。当時はまだレーサーパンツもなく、自転車のフレームは重いスチール製。レーサーは予備のタイヤチューブやタイヤを肩や腰に巻きつけて走り、タイヤがパンクすれば自ら修理しなければならなかった。(参考記事:「ツール・ド・フランス、不正の歴史」)
兵士の移動手段として、また米国での女性運動の象徴として、自転車はこれまで数多くの役割を担ってきた。形や大きさも様々だ。スチール製の頑丈な自転車もあれば、軽いカーボン製のレース用自転車もある。
自転車に乗ることは「子どものころの通過儀礼のひとつ」と語るのは、米国のサイクリング推進組織PeopleForBikesのケイト・ポーリソン氏。「年を取って自転車に乗らなくなっても、自転車に乗って自由に走り回った思い出は忘れられないものです」
自転車部隊の訓練
折りたたみ自転車を背中にくくり付け、棒をよじ登るイタリアの自転車兵。 この写真は1910 年発行のナショナル ジオグラフィック誌に掲載された。
当時、自転車は多くの軍隊で使われていた。
1930年代の中国
1930年代の中国で 自転車(北京語でzi xing che)のハンドルを握ってポーズを取る二人の男性。安くて便利な自転車は中国では重要な交通手段となっている。(参考記事:「天安門事件で放置された装甲車と、轢かれて変形した自転車」)
女性に勇気と自尊心
自転車は19世紀の米国女性運動において重要な役割を果たした。1895年、エリザベス・キャディ・スタントン氏は「自転車は女性に勇気と自尊心を与え、自立を促進した 」と「American Wheelman」誌に書いた。写真は1940年のナショナル ジオグラフィック誌に掲載されたもの。
家族でサイクリング
フランスの田舎で日曜のサイクリングに出かける家族。 この写真は1951年のナショナル ジオグラフィック誌に掲載された。「自転車」という言葉は1868年のフランスの「Daily News」紙の記事で初めて使われた。
混雑した駐輪場
南ベトナム、サイゴン市(現ホーチミン市)の大通りにずらりと並ぶ自転車とバイク。1965年にナショナル ジオグラフィック誌に掲載された。20世紀中ごろ、同市の自転車人口は150万人を数えたとみられる。
鏡の上のサイクリング
米国ユタ州のボンネビル・ソルトフラッツ(塩湖にできた平原)では、毎年カーレースが開催される。大雨が降るとレースカーは立ち往生してしまうが、自転車は大丈夫。 この写真は1985年のナショナル ジオグラフィック誌に掲載された。
自転車と一緒に川を渡る
自転車と一緒に手動ロープウェーに乗り、ケニコット川を渡るカップル。米国アラスカ州にあるランゲル・セントイライアス国立公園。現在、この川には橋がかかっており、徒歩または自転車で渡ることができる 。
過酷なアップヒル
アフリカ、ブルンジで大量の荷物を積んで坂道を上る。自転車は商品を町へ運ぶ伝統的な運搬手段だ。
うち捨てられた自転車
南米チリのアタカマ砂漠。墓地に放置され、さび付いた自転車が殺伐とした風景を創り出す。
19世紀の人気自転車
19世紀後半に人気のあった「ペニー・ファージング」と呼ばれる自転車に、当時の服装で乗る米国の男性。巨大な前輪のペダルを一踏みするたびに大きく前進した。
自動車はゲストです
オランダ・アムステルダムは世界で最も自転車にフレンドリーな都市の一つ。この街では多くの道路が自転車専用で「自転車専用道路。自動車はゲストです」という標識がある。(参考記事:「世界で加速する自転車シェアリング」)
バランスをとりながら
自転車に似た車台に木材を乗せ、バランスをとりながら運ぶ男性。アフリカ、コンゴ民主共和国ヴィルンガ国立公園。
子どものシンボル
アフリカ、マリのトンブクトゥ市の子どもたち。世界のどこでも自転車は子どものシンボルだ。
最後の自転車部隊
スイスは世界で最も最近まで軍隊に自転車部隊を持っていた。2003年に廃止されたが、自転車は現在も訓練や基地内の移動に使われている。
砂丘をただ一人
ブラジルの砂丘を走る自転車。レンソイス・マラニェンセス国立公園で。(この写真をパソコンの壁紙に:「ブラジルの砂丘を行く自転車」)