自らを飾る驚異の装飾系動物6選

レディー・ガガなど目じゃない自然界のベストドレッサーたち

2015.06.16
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カムフラージュのために折れたウミウチワを背負う紅海のモクズショイ。 (PHOTOGRAPH BY CHRIS NEWBERT, MINDEN PICTURES/NATIONAL GEOGRAPHIC)
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 自然界にはレディー・ガガより奇抜なファッションに身を包む動物がたくさんいる。

 カニや昆虫や鳥類には、体を飾り立てる習性をもつものが多い。「けれどもおそらく、その理由はまちまちです」と、英国エクセター大学の生態学者マーティン・スティーブンス氏は言う。

 スティーブンス氏とグレイム・ラクストン氏は、6月3日に英国王立協会の科学誌『バイオロジー・レターズ』に発表した論文で、自分の体を飾り立てる習性をもつさまざまな動物に関する研究を概観し、こうした装飾には、カムフラージュからコミュニケーションまで多様な機能があるらしいことを明らかにした。

 スティーブンス氏は、「動物が自分の体を飾り立てる最も一般的な理由は、捕食者から逃れるためです」と言う。

 ほかには、日よけや、異性の目に魅力的に映るためなどの理由がある。

 そこで、自然界のベストドレッサーたちを紹介してみよう。

モクズショイ

 クモガニ上科の多くが、捕食者から身を隠したり撃退したりするために、身の回りにある材料を使って体を飾り立てる。

 こうしたカニの殻は、マジックテープのような鉤状の毛に覆われている。海藻、海綿、イソギンチャク、サンゴなどをこの毛に引っかければ、背景に溶け込んだり、別のもののふりをしたりすることができる。生態学者はこの戦略を「擬態」と呼ぶ。

 刺激臭を放つものや有毒な化学物質を含むものを選んで身につけることで捕食者に抵抗しているカニもいる。

クモガニとは別の種類だが、ウニを背負って盾にしているホモラ科のキャリアクラブ。今日は荷物が重いとぼやいている方は、自分がキャリアクラブに生まれなかったことに感謝するべきだ。彼らは防御に使えそうなものはなんでも拾う。ほかの動物だっておかまいなし!

トビケラの幼虫

トビケラの幼虫は、身の回りにある材料をより合わせて作った「ケーシング」に入って身を守る。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 トビケラという水生昆虫の幼虫の多くは、身の回りにある材料をつかって自分用のハードケース(ケーシング)をつくる。体から出した糸で材料を綴り合わせ、捕食者から身を守る頑丈なよろいに仕上げるのだ(参考記事:「華麗なる擬態の世界」

 ケーシングは体がぴったり入る大きさで、餌を食べたり移動したりするときも、ほとんどの幼虫はこの中に入ったままだ。精巧な作りの巣には、流れの速い淡水に棲む幼虫の体を守る役割もあるかもしれない。

イノシシ

 イノシシは泥の上でごろごろ転がり、全身に泥を塗りたくってから乾燥させる。科学者は、イノシシの泥浴びには体温を調節し、寄生虫を落とし、傷を消毒する効果があると考えている。

サシガメ

この写真には写っていないが、サシガメは捕食者から逃れるためにアリの死骸の山を背負うことがある。(PHOTOGRAPH BY BRIAN GORDON GREEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 論文の共著者であるスティーブンス氏によると、カメムシの仲間のサシガメという昆虫は、捕食者から逃れるために、自分が餌にしたアリの死骸を背負って歩くという。

 この戦略は有効だ。このゾッとするアクセサリーを背負ったサシガメは、何もないときよりハエトリグモに捕食されにくいことが研究により示されている。ハエトリグモは、アリの死骸の山には気づくものの、その下においしいサシガメが隠れていることには気がつかないからだ。

ヒゲワシ

鉄分を多く含む土で羽毛を赤く染めたヒゲワシ。(PHOTOGRAPH BY ROBYWILDLIFE, ALAMY)
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 鳥たちの中には、見栄えを変えるために自分の羽毛にいろいろと付け加えるものがいる。まるで化粧のように。

 白い羽毛が多いヒゲワシ(学名:Gypaetus barbatus)は、鉄分を豊富に含む土に頭や首や尻をこすりつけて赤茶色に染める。

 歳をとり社会的に優位に立つ個体ほど赤茶色をしているので、この色は地位の象徴なのかもしれない。(参考記事:「“メイク”で異性の気を引くフラミンゴ」

 羽毛を染める習性には、抗酸化作用や、有害な細菌から身を守る働きなど、医学的な意味もあるかもしれない。

クサカゲロウの幼虫

 排泄物を身にまとうという手もある。クサカゲロウの幼虫は、死んだ皮膚や自分自身の排泄物などを身にまとっているが、これには、カムフラージュと捕食者に襲われた場合の防具の両方の意味があるようだ。(参考記事:世界最古の擬態昆虫、1億1千万年前のクサガメ

 例えば、クサカゲロウの幼虫はアブラムシを食べるが、その際、アブラムシが分泌する綿毛のようなロウ状物質を自分の体に移すことで、アブラムシの世話をするアリから身を守ることができる。実験では、クサカゲロウの体からこの衣を剥ぎ取ってしまうと、アブラムシと協力関係にあるアリから侵略者と認識されて追い払われてしまうという。

文=Mary Bates/訳=三枝小夜子

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