台湾で撮影された緑色の生物が、かなりグロテスクだとネットを騒がせている。

 巨大深海魚リュウグウノツカイから、砂浜を埋め尽くす青クラゲまで、海はあらゆる不思議で満ちている。けれども、今ネットを騒がせている海からの使者は、心臓の弱い人向きではないのでご注意。

 台湾の漁師たちはつい最近、明るい緑色をした巨大ミミズのような生物を発見し、ビデオで撮影した。動画は先週ネットへ投稿され、ピンク色の舌のようなものをにょろにょろと吐き出すその姿が大きな反響を呼んでいる。

 米スミソニアン自然史博物館の無脊椎動物学の専門家ジョン・ノーレンバーグ氏によると、この生物は紐形動物門のミドリヒモムシ(学名:Lineus fuscoviridis)。日本からフィリピンにかけて分布、とくに熱帯の沿岸海域でよく見られ、人間に害はない。動画のミドリヒモムシは、石や海草のかたまりなど、海から引き揚げられた何かの中からはい出してきたものと考えられる。

 米フランクリン・アンド・マーシャル大学の無脊椎動物学者ジョン・マクダーモット氏によれば、ミドリヒモムシの属するリネウス科の中には、「全長が2メートルに達するものもいます」と言う。世界にはおよそ1100種のヒモムシが存在し、一部をのぞいてほとんどは海に生息している。

粘性の器官を武器に

 では、動画に映っているピンク色のくねくねとした物体は何なのか。

 これは、このヒモムシの特徴である吻(ふん)だという。ヒモムシは、この舌のような器官をすばやくのばして獲物を捕らえる。種によっては、吻に粘性があり、貝やウミウシ、他のヒモムシをこれで絡め取って丸のみする。


パート2:インターネットの注目を集めたミドリヒモムシ。

 時には、自分の体の3~4倍も太ったウミウシをのみ込むこともあると、ノーレンバーグ氏は話す。マクダーモット氏によると、獲物に麻酔をかけて動けなくさせてから丸のみするものや、特別仕様の吻で獲物に毒を注入するものもいるという。

 動画は、乾いた陸に揚げられてしまったヒモムシが見せた最後のあがきだったのだろうと、ノーレンバーグ氏は言う。ヒモムシは体を覆っている粘液で移動するが、それには潤滑剤として海水が必要なため、陸上では長く生きられない。「動画ではヒモムシを覆っている粘液が乾燥しかけていますね。人間の唾液も、水分が不足すれば乾燥してしまうのと同じことです」

 さて、次に海が私たちに見せてくれる不思議は、何だろう?

文=Jane J. Lee/訳=ルーバー荒井ハンナ