【動画】人の声で触角を伸ばすイモムシが見つかる

4本の触角が同時にボヨ~ン!

2015.05.08
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 ペルーのアマゾン奥深くで、きわめて珍しい行動を見せるイモムシが見つかった。見た目は木の枝のような姿で、周囲の森林に同化しようと必死の様子だが、おかしなのはその4本の長い触角だ。くるりと丸まり、危険を察知するや否や、すぐにでも飛び出させられるよう待ち構えている。

 と、そこへ突如人間たちが現われた。彼らの発する声が作りだす空気の振動を感じ取り、イモムシはとっさに防御用の武器を繰り出す。4本の触角がびっくり箱のようにボヨ~ン! と飛び出し、四方へ向かって伸びると、またくるりと元に収まった。

「とにかく変てこな光景でした」と語るのは、イモムシを発見したエコツーリズム会社「レインフォレスト・エクスペディションズ」の昆虫学者アーロン・ポメランツ氏だ。イモムシは、ペルー南東部にあるタンボパタ研究センター付近にある1本の木の、地上30メートル付近で見つかった。

 ポメランズ氏がキャノピータワー(樹上の動物や鳥を観察するためにジャングルに建てられた背の高いタワー)を上ってきた仲間に声をかけたとたん、イモムシの触角が飛び出したという。

 あまりの珍しさに、動画を撮影した。恐らく、触角が飛び出す瞬間を撮影したものとしては世界初だろう。

「イモムシがこのような行動をとるのは、見たことがありません」ドレクセル大学自然科学アカデミーのコレクションマネージャーであるジェイソン・ワイントラウブ氏は、動画を見て感想を述べた。

仮説の証明

 昆虫学者らは、このイモムシがシャクガ科Nematocampa属の一種だろうと見ている。シャクガは南北アメリカ大陸に広く分布する蛾で、その幼虫は特異な突起物を持つイモムシとして知られている。

 しかし、この虫の正体を特定するには、成虫になるまで育てるか、DNA配列を調べるしかないと、フロリダ自然史博物館のコレクションマネージャー、アンディー・ウォーレン氏は言う。 

「幼虫の段階ではまだ何のガなのか分かりませんが、北米に生息するシャクガの一種(学名:Nematocampa resistaria)の幼虫にとても良く似ているようです」と、ウォーレン氏。

 では、奇妙な触角の動きの謎は? 恐らく、敵から身を守るためではないかと科学者らは推測する。しかし、それがどうやって捕食動物や寄生虫を追い払うのか、また敵とは何なのかは不明だ。

「興味深い防御行動ですね」。シャクガ科を専門とするワイントラウブ氏はそう付け加えた。「確かに、身を守るためだとは思うのですが、これによってどんな捕食動物や寄生虫を追い払うことができるのか、見当も付きません」

 ひとつ考えられるのは、触角の先端部分が白くなっていることから、相手の注意を自分の体から逸らせる事ができるのではないかと、フロリダ自然史博物館の収集担当者、アンドレイ・ソウラコフ氏は説明する。似たような行動を、ソウラコフ氏はシジミチョウの成虫で見たことがある。

 ソウラコフ氏をはじめ専門家らは、触角の先端にある産毛が空気の振動を感じ取り、近寄ってくる危険を察知するのではないかと考えている。イモムシの似たような突起を観察したことのあるソウラコフ氏は、このように説明した。

「ペルーのこの動画から、イモムシが音を『聞く』ことができるという仮説が証明されたと言えるでしょう。恐らく、触角に備わっている感覚器官を使っているのだと思います」

文=Nadia Drake/訳=ルーバー荒井ハンナ

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