月形成時の衝突の痕跡を小惑星帯からの隕石で発見

2013年にロシア、チェリャビンスクに落ちた隕石からも見つかる

2015.04.21
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
1969年11月24日、アポロ12号から見た月。(PHOTOGRAPH BY NASA)
[画像のクリックで拡大表示]

 夜空に輝く月は、今から45億年近く前に、地球と火星サイズの天体との激しい衝突「ジャイアント・インパクト」が引き金となって形成された。『Science』4月17日号に掲載された論文によれば、この衝突で飛び散った破片が小惑星帯まで到達し、小惑星に痕跡を残していたことが明らかになった。

 論文の著者である米サウスウエスト研究所のビル・ボトケ氏は、「内部太陽系(現在、地球や火星といった岩石惑星がある太陽に近いエリア)で起こった衝突としては最大規模の、とてつもない出来事でした」と言う。「膨大な量の破片ができて、そのうちのかなりの部分が地球―月系から放り出されました」。

 研究者らはまず衝突のシミュレーションを行い、多数の大きな破片が火星と木星の間にある原始小惑星帯を突き抜けた可能性を明らかにした。次に、その小惑星帯から隕石として地球に落ちてきたものを34個調べた。2013年にロシアのチェリャビンスク州上空で爆発した隕石の破片も含め、彼らが調べた隕石の多くに大昔の衝突の痕跡が残っていた。

 通常、小惑星どうしが衝突してもクレーターができるだけだ。けれども、遠方から高速で飛んできた場合、衝突の瞬間、岩石が加熱して「衝突溶融岩石(impact melt)」が生成される。

 ボトケ氏は、これらの痕跡の形成時期と性質を考慮し、月を形成した衝突の痕跡だろうと判断した。

 研究チームは、カリウム―アルゴン法という年代測定法を用いて、痕跡の形成時期を見積もった。岩石中の放射性カリウムは一定のペースで崩壊してアルゴンになるが、小惑星の衝突などにより岩石が加熱されると、アルゴンガスは岩石中からすべて放出されてなくなってしまう。「このように『アルゴン時計』がリセットされるおかげで、岩石に含まれるアルゴンの量を利用して、衝突溶融が起こった時期を見積もることができるのです」とボトケ氏は言う。

 アルゴンの測定結果は、痕跡が約44億7000万年前にできたことを明らかにした。この年代は、月の石の同位体時計から導かれた年代とよく合うように思われる。

 アリゾナ州立大学のアラン・ジャクソン氏は、小惑星を調べて月形成のタイミングを探るボトケ氏らアプローチの巧妙さを賞賛する。「小惑星を用いることで、地球や月の影響を受けていない月形成の年代を探れるようになったのです」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

  • このエントリーをはてなブックマークに追加