※この発見についての詳細は、2015年12月30日発売の『ナショナル ジオグラフィック日本版』2016年1月号で、見つかった都市の想像図や写真を含めて詳しく紹介します。

ホンジュラスの密林モスキティアで発見されたばかりの遺跡現場を警備する武装兵士。(Photograph by Dave Yoder, National Geographic)
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 ホンジュラス共和国のフアン・オルランド・エルナンデス大統領は、国の東部で最近新たに発見された「失われた都市」の遺跡現場に警備兵を配置し、保護に努める考えを明らかにした。3月上旬に、ナショナル ジオグラフィックが遺跡発見までの模様を独占取材した際、盗掘や違法な森林伐採が遺跡を脅かす恐れがあると報じていた(参考記事:「謎の古代文明の遺跡を中米で複数発見、マヤとは別」

 現場が初めて特定されたのは2012年のこと。LIDAR(Light Detection and Ranging)と呼ばれる航空測量のテクノロジーを使って、まず航空調査が行われた。そこから得られた情報を頼りに地上で調査が行われ、今年2月、ホンジュラス東部のモスキティアという密林の中で遺跡は発見された。調査隊には、ホンジュラス国立人類学歴史学研究所(IHAH)の考古学者やアメリカ人科学者らが参加し、広大な広場、土塁、土で出来たピラミッドの跡を地図に描いた。さらに、石の彫像物も数多く発見され、その中には一部が人間で一部がジャガーの姿をした奇妙な石像も含まれていた。

ホンジュラスのフアン・オルランド・エルナンデス大統領(資料写真)は、自国の歴史文化の保護を決めた。(Photograph by Cia Pak, AP)
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 3月10日、エルナンデス大統領は軍の司令官に対し、現場周辺の警備を命じた。IHAHのディレクター、バーギリオ・パレデス・トラペロ氏は、遺跡が西暦1000~1400年ごろのものと推測している。

「大統領は、遺跡現場と、それを含むモスキティア全体を保護するよう軍へ指示しました」と、トラペロ氏。

遺跡は世界の宝

 11日間の地上調査隊を率いたアメリカの映画製作者スティーブ・エルキンス氏は、今回の大統領の決定を高く評価している。

「モスキティアはホンジュラスの人々、そして世界にとって宝のような存在です。それが、我々の目の前で消滅しようとしているのです。」衛星写真を見ると、この付近で過去数年間のうちに大規模な森林破壊が進んでいることがわかる。

「国は現在、対策に乗り出そうとしています。丸裸にされた土地に再び木を植えて、ジャングルを取り戻そうというとても野心的な計画もあります」

モスキティアの森林伐採を助長している主な原因は、牛の放牧である。しかし科学者らは、それが文化的遺産を脅かそうとしていると警告する。(Photograph by Dave Yoder, National Geographic)
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 2月の調査を取材した記事は一部で論争を呼び、考古学者の中には、遺跡の発見報道が「大げさすぎる」という者もいる。この付近では以前にも考古学調査が行われており、昔から住み着いている地元住民の間にも、遺跡現場のことは知られていた。これに対し調査隊は、LIDAR調査に続いて2月の地上調査で確認された現場はどの学術誌にも取り上げられておらず、IHAHの公式考古学資料室に納められているどのプロジェクトレポートや他の文書にも記録されていないとしている。遺跡の眠る場所は、人の住む場所や道路からは遠く離れた「手つかずの熱帯ジャングル」の中にある。

 エルナンデス大統領の決定は「喜ばしい第一歩です。これを受けて国際的な保全団体も支援の手を差し伸べてくれる事を願っています」と、調査隊の一員でコロラド州立大学の考古学者クリス・フィッシャー氏はいう。「ホンジュラス政府が遺跡現場の重要性を認識していることは明らかです。国際団体と協力して、人の手が入っていない独特の生態系と文化を持つモスキティアの自然をぜひとも残して行って欲しいと思います」

文=Brian Clark Howard/訳=ルーバー荒井ハンナ