白いコートに着替えたツンドラの動物たち

厳しい冬を乗り越えるため、動物の毛はさまざまな役割を果たす

2016.02.11
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白い冬のコート
周囲の雪景色を鏡に映すかのように、白く美しいコートをまとうオコジョ。イタリアのグラン・パラディーゾ国立公園で撮影。(PHOTOGRAPH BY STEFANO UNTERTHINER)
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 厳しい雪と氷の季節を乗り越えるため、自然は贅沢な冬の毛皮を動物たちに授けた。

 人間は寒くなると、コートや帽子、手袋、ブーツなどの防寒着を身に着ける。それと同じように、北方のツンドラ地帯にすむ多くの動物たちも、極寒の冬を暖かく過ごすために、体の毛が分厚くなる。(参考記事:「厳冬を耐え抜く野生動物の防寒のヒミツ」

  なかにはホッキョクギツネのように、足の裏の毛まで厚くなる動物もいる。これがスノーブーツのように保温と滑り止めの役割を果たすおかげで、雪の上を歩き回ることができるのだ。

 また、ホッキョクウサギやオコジョがまとう雪のように白い毛皮には、擬態効果がある。これで敵から身を守るのだ。

 その白く美しい毛は、人間をも虜にしている。昔から、オコジョの毛皮は身分の高い人々の間で珍重されてきた。王族が身に着けるガウンにあしらわれ、肖像画や紋章のデザインにも見ることができる。

 白い毛には、動物の体温を維持する効果もある。色が抜けた毛の内部には空間ができて、断熱の役割を果たすのだ。鳥が翼を膨らませているのも同じ原理で、羽毛の間に空気の塊をたくわえることで体温を維持している。

 気温が上がって夏が近づくと、動物たちの毛は抜け替わる。冬の白いコートを脱ぎ捨て、その毛は大地と同じ色を帯び始める。茶色、灰色、黒といった毛の変化は、季節の到来とともに、新たな草木が芽吹いていることを知らせてくれる。

 そんな動物たちの冬の姿を、写真で見てみよう。

ごはんだよ!

PHOTOGRAPH BY STEFANO UNTERTHINER
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イタリアのグラン・パラディーゾ国立公園で、好物のハタネズミを捕らえるオコジョ。暖かい季節には、オコジョの毛は栗毛色になる。

氷の視線

PHOTOGRAPH BY NORBERT ROSING
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月の光を浴び、周囲の氷の世界に溶け込むようにひっそりとたたずむホッキョクギツネ。冬の間、ホッキョクギツネの肉球には分厚い毛が生えていて、まるでスノーブーツのように足を温める。

見張り

PHOTOGRAPH BY NORBERT ROSING
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周囲の野山と同じ黄褐色の毛をした若いホッキョクギツネの群れ。危険に備えて注意深く見張りをする。

フードファイト

PHOTOGRAPH BY SERGEY GORSHKOV
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米国アラスカ州で、レミングの死体のおこぼれにあずかって喜ぶホッキョクギツネの子ども。点々と白い冬毛が生え始めている。

ウサギ登場

PHOTOGRAPH BY JIM BRANDENBURG
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カナダ、エルズミア島のホッキョクウサギ。氷に覆われた北方ツンドラ地帯の環境に合わせた毛皮をまとっている。後ろ足が長く、時速64キロのスピードで走る。

生え変わりの時期

PHOTOGRAPH BY NORBERT ROSING
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夏が近づくとともに冬毛が抜け落ち、茶色の毛が見え始めているホッキョクウサギ。新たに芽吹く草木の風景には、茶色の毛皮の方がよく似合う。

幻想的な羽ばたき

PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN
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北極圏のツンドラ地帯に多く生息するカラフトライチョウ。冬の間、体は白く長い羽で覆われるが、この鳥は尾羽に少し黒い色が残っている。雪の上を歩いても冷たくないように、足にも毛が生える。

冬毛が先か、夏毛が先か?

PHOTOGRAPH BY GEORGE F. MOBLEY
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ニワトリに似たカラフトライチョウは、暖かい季節には体の色が赤褐色に変わる。(参考記事:「真っ白になった冬のライチョウ」

幻のヒョウ

PHOTOGRAPH BY TIM FITZHARRIS
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めったに姿を見せないユキヒョウは、雪深いアジアに生息する。分厚い毛皮と尾は、寒い冬を温かく過ごすためのものだ。足は体の割には大きく、毛で覆われている。これが保温と滑り止めの効果をもつスノーブーツの役割を果たし、降り積もった雪の上でも沈むことなく歩ける。(参考記事:「孤高の王者 ユキヒョウを追う」

ウィンターワンダーランド

PHOTOGRAPH BY JIM BRANDENBURG
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カナダのエルズミア島で、雪の中をうれしそうに跳ね回るピアリーカリブー。冬の間、毛は真っ白になる。

文=Christy Ullrich Barcus/訳=ルーバー荒井ハンナ

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