原始的なミミズの目から高性能なワシの目まで、動物界には驚くほどさまざまな目がある。動物の目とその進化をめぐる、最新の研究成果を紹介する。

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不思議な目の進化

原始的なミミズの目から高性能なワシの目まで、動物界には驚くほどさまざまな目がある。動物の目とその進化をめぐる、最新の研究成果を紹介する。

文=エド・ヨン/写真=デビッド・リトシュワガー

 動物界にはアメーバほどの小さな目もあれば、ダイオウイカの目のように大きな皿ほどの目もある。イカの目は人間と同じくカメラに似た仕組みをもつ一方、ハエの複眼は数千個の個眼に分割して物を見る。

 人間やハエやイカは頭部に一対の目をもつが、イタヤガイの目は外套膜(いわゆる「ひも」の部分)の縁に点々と並ぶ。ヒトデの目は腕の先端にあり、アメリカムラサキウニは体全体が一つの大きな目のような働きをする。二焦点レンズや反射鏡を備えた目もあれば、上下左右が同時に見える目もある。

 なぜ、ここまで多様な目ができたのか。スウェーデンにあるルンド大学のダン=エリック・ニルソンの研究で、原始的な光センサーから高度な目に至る進化は、驚くほど短期間で起こりうることがわかった。

複雑な目への進化は「一瞬の出来事」

 ニルソンは、目の進化をシミュレーションした。最初にあるのは、光を感じる細胞が集まった、平らな眼点だ。世代を重ねるごとに厚さが増し、くぼみが深くなっていく。やがて原始的な水晶体が形成され、その性能は徐々に向上する。

 その結果は、驚くべきものだった。1年に1世代ずつ更新するとし、世代ごとの改善率が0.005%という控えめな想定でも、平らな眼点からレンズを備えたカメラのような目ができるまでには、40万年もかからない。進化の時間経過からすれば、まさに一瞬の出来事だ。

「粗末な目から完璧な目へ進化したのではありません。少数の単純な仕事を完璧にこなす段階から、多くの複雑な仕事を見事にこなす段階へ進化してきたのです」。ニルソンはそう説明する。

※この続きは、ナショナル ジオグラフィック2016年2月号でどうぞ。

編集者から

 今月の表紙モデルも務めてくれた海の生き物「モンハナシャコ」は、ときには水槽も叩き割るパンチ力で有名ですが、すぐれた目の持ち主としても知られています。そんなシャコのほかにも、記事にはクラゲや貝、イカ、ハエ、蛾、ワシなど、さまざまな動物たちが登場します。目という器官がここまで多様な進化を遂げていたとは、つくづく驚きました。
 脳もないのに精巧な目をもつハコクラゲは、その目でどんな世界を見ているのか。明暗を感じるだけの単純な光センサーが、レンズを備えたカメラのような目に進化するまでにはどれくらい時間がかかるのか。…そんな最新の研究成果も紹介しています。個人的には、ヒザラガイの目が印象的でした。海にすむ平らな貝が、実は小さな目を何百個ももっていて、それぞれの目に透明な石のレンズがついているなんて、なんだか宮沢賢治の童話にでも出てきそう。生物界には、まだまだ知らない不思議なことがいっぱいありそうです。(編集H.I)

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